データ分析の老舗IT企業といえば米テラデータ。ビッグデータブームによって経営状況はどうなっているのか。課題は何か。日本テラデータの社長を10年務める吉川幸彦氏に聞いた。
まずは業績についてお聞きします。米テラデータの2016年12月期の売上高は23億2200万ドル(2554億2000万円、前年同期比8%減)で減収でした。ビッグデータブームで商売が繁盛しているだろう、と思っていたので意外です。
その要因として大きいのは、マーケティング分野のアプリケーションを手掛けるアプリモ(Aprimo、2011年にテラデータが買収)を2016年に売却し、その部分の売り上げがゼロになったためです。本業であるデータアナリティクス分野の業績は堅調です。
日本法人の業績については公表していませんが、アプリモの影響はほとんどなくて、全てが良いわけではないものの、全体としては堅調に推移しています。ただし日本法人の売上高はテラデータ全体の10%に満たない。もっと伸ばすよう、本社からプレッシャーを受けています(苦笑)。
会社がテラデータとNCRの2社に分離するずっと前、吉川さんが日本NCRに入社してから40年たちます。データ分析ブームを何度も経験されていますが、現状をどう見ていますか。
5年前ぐらいにビッグデータという言葉が出始めたころ、データをとにかくたくさん蓄積しようとするお客様が増えました。以前から収集しているデータだけではなく、IoT(インターネット・オブ・シングズ)の考えに基づいて、多様なデータをできる限り集めたわけです。
このような流れに乗って、IT企業の一部はハードウエアの販売で成長したかもしれません。ただ当社にとっては、大きな追い風になっているかというと、そうとも言い切れない状況です。