データ分析の老舗IT企業といえば米テラデータ。ビッグデータブームによって経営状況はどうなっているのか。課題は何か。日本テラデータの社長を10年務める吉川幸彦氏に聞いた。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は清嶋 直樹=日経コンピュータ)

まずは業績についてお聞きします。米テラデータの2016年12月期の売上高は23億2200万ドル(2554億2000万円、前年同期比8%減)で減収でした。ビッグデータブームで商売が繁盛しているだろう、と思っていたので意外です。

 その要因として大きいのは、マーケティング分野のアプリケーションを手掛けるアプリモ(Aprimo、2011年にテラデータが買収)を2016年に売却し、その部分の売り上げがゼロになったためです。本業であるデータアナリティクス分野の業績は堅調です。

日本テラデータ 代表取締役社長 吉川幸彦氏
日本テラデータ 代表取締役社長 吉川幸彦氏
1976年慶応義塾大学工学部電気工学科卒。同年日本NCR入社。経営企画室長、コンピュータ製品企画部長、流通システム本部マーケティング統括部長兼流通システム本部北アジア地区マーケティング担当ディレクター、テラデータ事業本部本部長補佐兼営業推進統括部長などを経て2006年執行役員テラデータ事業本部長。2007年4月常務執行役員テラデータ事業本部長。同年9月日本テラデータ代表取締役社長に就任。1952年生まれ。(撮影:陶山 勉、以下同じ)

 日本法人の業績については公表していませんが、アプリモの影響はほとんどなくて、全てが良いわけではないものの、全体としては堅調に推移しています。ただし日本法人の売上高はテラデータ全体の10%に満たない。もっと伸ばすよう、本社からプレッシャーを受けています(苦笑)。

会社がテラデータとNCRの2社に分離するずっと前、吉川さんが日本NCRに入社してから40年たちます。データ分析ブームを何度も経験されていますが、現状をどう見ていますか。

 5年前ぐらいにビッグデータという言葉が出始めたころ、データをとにかくたくさん蓄積しようとするお客様が増えました。以前から収集しているデータだけではなく、IoT(インターネット・オブ・シングズ)の考えに基づいて、多様なデータをできる限り集めたわけです。

 このような流れに乗って、IT企業の一部はハードウエアの販売で成長したかもしれません。ただ当社にとっては、大きな追い風になっているかというと、そうとも言い切れない状況です。