2015年5月にシスコ日本法人の社長に就任した鈴木みゆき氏。ビジネスを伸ばすには何をすべきかを考え、2017年夏にある活動に着手した。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は堀内 かほり=日経NETWORK)

今、ヒットしている中小企業向けソリューションなどは鈴木さんが考案したのですか。

 現場の発案であって、私が全てを考えたわけではありません。私は、入社した直後の2015年夏ごろ、優秀な若手社員を集めてタスクフォースを立ち上げました。ブレークスルー(現状打破)プロジェクトとして、ブランドや製品・サービス、業務プロセスなど様々な点について、変革のアイデアを出してもらうための取り組みです。

(撮影:陶山 勉、以下同じ)
(撮影:陶山 勉、以下同じ)
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 「馬鹿なアイデアなんてない」「失敗を恐れてはいけない」とメンバーに発破をかけました。これまでのやり方や常識などにこだわらず、発想を豊かにして奇抜なアイデアを考えるよう指示したのです。すると、200件くらいの案が出てきました。これらの中から、優先すべきものを20件くらいに絞り込んで、具体化しました。

 中小企業向けのソリューションである「Cisco Start」は、この取り組みの成果の一つです。若い社員らの創造性やスキルを引き出して、それを生かせたこと、そしてビジネス面の成果にも結びついていることなども含め、本当にうれしく思っています。

タスクフォースで人材を育成

 タスクフォースは日常の仕事と並行してやってもらっていたので、メンバーにとっては大変だったと思います。それでも、本当に頑張ってくれました。

 若手の意見を聞いてビジネスに生かすことは、当社の今後の成長に大きく関係します。今回の取り組みは、シスコの将来を担う人材の育成にもつながっています。異なる部門の担当者と一緒に物事を考え、新しいことに取り組んだという経験は大変価値のあることですから。