ラックの西本逸郎専務執行役員が、2017年4月1日付で社長に昇格する。“セキュリティのご意見番”として様々な社外活動を積極的に進めてきた同氏が、従業員1700人を抱えるIT企業のトップとしてどう舵取りしていくのか。意気込みを聞いた。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は齊藤 貴之=日経NETWORK)


社長昇格が決まりました。心境をお聞かせください。

 従業員や取引先に対する責任をしっかりと果たさなければならない、と気が引き締まる思いです。これまでセキュリティの分野で日本を支えたいとの思いで様々な活動をしてきました。今後はセキュリティ業界に加え、IT業界に貢献できるような会社にしていきたいと考えています。

ラック 専務執行役員CTO兼CISO 西本逸郎氏
ラック 専務執行役員CTO兼CISO 西本逸郎氏
昭和33年福岡県北九州市生まれの58歳。福岡県立東筑高等学校卒業、熊本大学工学部中退。1986年に旧ラックに入社し、2000年まではプログラマーとして活躍。その後、セキュリティ事業に移り、日本最大級のセキュリティ監視センターであるJSOCの立ち上げに携わる。セキュリティ普及のため、社外活動も積極的に行い、経済産業省の個人情報保護ガイドライン検討委員会委員や警察庁総合セキュリティ対策会議委員などを務める。2017年2月3日の取締役会で、2017年4月1日付けの社長昇格が決まった。(撮影=陶山 勉、以下同じ)
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 そもそも業界をリードしていくには、まずは収益をきっちり出していかなければなりません。そうしないと、優れた人材を集めることもできません。「ラックは成長の場がある」と人材が集まる。「ラックに相談すれば課題を解決してくれる」とお客様が集まる。そんな魅力的な会社にすることが私の使命になります。

 現在ラックの売り上げの3分の2がSI(システムインテグレーション)事業、3分の1がセキュリティ事業という構成です。世間からは「セキュリティの会社」というイメージが強いようですが、経営を安定的に支えているのはSI事業です。セキュリティ事業は堅調に伸ばしていますが、継続的にチャレンジングな投資をするにはまだ営業利益は足りません。