価格や、搭載OSを含めたブランド、画面サイズに重さ――。ノートPC(パソコン)を購入しようとする顧客は、スペックを含む様々な要因を踏まえて検討し、自分の好みに合うものを選んでいます。読者の皆さんが新しいノートPCを市場に投入するマーケティング担当者だとすると、「顧客に刺さるノートPC」の要因検討にきっと頭を悩ますことでしょう。

 この場面で、「ノートPCの画面をもし現在検討しているものから2インチ増やすと、値引きに換算してどれだけの価値を得たと顧客は感じられるか」がつかめると、より戦略的にノートPCのスペックを固めていくことができるでしょう。

 実はそういった手法があるのです。2017年5月29日発行の『日経情報ストラテジー』で連載中の「『次の一手』の効果を評価するビジネス分析術」で紹介している「戦術・アイデアの金額換算価値を計算するための分析」です。ケーススタディとして「ノートPCの好みに端末のどんな要因が影響しているか」を分析。その結果からそれぞれの属性(要因)の変化が、いくらの値引きと釣り合うかを計算し、それぞれの金額換算価値を求める方法です。

分析対象に価格を織り込んで価値を見極め

 この手法では前回までに学んだコンジョイント分析を使います。今回のポイントとなるのは、コンジョイント分析で対象とする属性の一つに「価格」を織り込んで、調査・分析するという点です。好みへの影響の大きさとして価格についての係数を求め、他の属性の係数とを比較して、それぞれの属性の金額換算価値を求めて評価します。これによって、戦術・アイデアの金額換算価値のみならず、メーカーすなわちブランドそれぞれの金額換算価値にもアプローチしようというものです。

 以上が、雑誌の連載記事のあらすじを含めた簡単な解説です。具体的に、分析からこれらの点を検討する方法に移りましょう。今回の手法は、前回同様、実験計画法の手法で、直交計画と回帰分析を使っていきます(事例のポイントや結果の解釈については、誌面を参照してください)。コンジョイント分析の内容や手順については、第4回、第5回と重複する部分がありますので最小限の説明にとどめ、結果を活用した金額換算価値の計算について、手順を中心に解説します。