大画面や音声のハイレゾ対応、防水、バッテリーの持ち時間――。スマートフォン各社は機能を競っていますが、「多機能だから売れる」とは限りません。価格が上がったり、操作が複雑になったりすると、顧客にそっぽを向かれることも。どんな要因が顧客の機種選択に大きく影響するのでしょうか。

 それを分析する手法として、今回は「コンジョイント分析」を紹介します。回答者のえり好みの仕組みともいえる “選好構造”を解き明かすものです。

顧客1人ひとりの「選好構造」を洗い出す

 今回のポイントとなるのは前回と同様「実験計画法」です。「直交計画」を使って、調査する要因の組み合わせ数を減らし、その減らしたアイデア(プロファイル)を実験調査して分析します。

 この方法を用いることで、
(1)少数のアイデアを評価するだけで、全ての要素の組み合わせパターンを評価でき、最も効果が出ると予想されるアイデアが分かる
(2)要因の重要度を把握できる
というメリットがあります。この2点が今回の分析のポイントです。

 前回のメールDMの評価と異なるのは、データ分析対象が「個」であるという点です。極端に言えば、調査対象者(回答者)は1人でもよく、その人が何を重視して商品(今回の例ではスマホ)を評価しているかを特定できるという点にあります。マーケティングでは、このような分析のことを「コンジョイント分析」と呼びます。これを活用して個人の「選好構造」を分析し、他の回答者の選考構造と比較することで、顧客のセグメンテーションを検討する方法を考えます。

 2017年4月29日発行の日経情報ストラテジーの連載記事『「次の一手」の効果を評価するビジネス分析術』では、今回のケースのポイントや結果の解釈の仕方を解説しています。こちらのウェブ版では、具体的な分析のやり方を見てみましょう。前回同様、実験計画法の手法で、直交計画と回帰分析を使っていきます。