前回はオムニチャネルについて改めてみなおし、サンプル企業におけるオムニチャネル化を情報システム部の視点から見ていった。最後では要件リストを作成したが、このサンプル企業がオムニチャネルに対応した場合の、理想のシステム構成とシステム間の関連性を示したのが、以下の図である。

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 今回は、RFPを作りベンダーの選定を始めプロジェクトを進行させるにあたり、特にコミュニケーション面について気をつけるべきところを述べていく。

 というのも、オムニチャネルは全社的取り組みであるがゆえに通常の機能追加やリプレースでは意識せずに済むコミュニケーション面での注意点が存在するからだ。自社内でのコミュニケーションと、ベンダー(社外)とのコミュニケーションに大きく分けて考えていこう。

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 自社内のコミュニケーションにおいて注意すべき点は、予算と、オムニチャネル以外での機能追加である。オムニチャネルを実現するためには点在していたシステムを連携させる必要があるが、その連携機能について要件リストで想定していた以上の予算が必要になる場合がある。

 また、各部門で開発を予定していたオムニチャネル以外の機能追加がある場合、その機能はオムニチャネルの観点に照らしてどのようにするべきであるかを考えなければならない。このような問題を解決するために、どうコミュニケーションを図るべきだろうか。

 一方、ベンダーとのコミュニケーションにおいては、オムニチャネルの開発であるがゆえの初期ステップに付き合ってもらわなければならない。システム連携に関しては全システムのベンダーに同一のゴールを理解してもらうことが第一歩だからだ。

 泥臭いながらも顔を合わせたコミュニケーションを図り、最初の段階で明確なゴールとそれに向かうベクトルを設定する必要がある。各ベンダーとのコミュニケーションをオンラインで整理する必要もある。

 要件リストが完成した後は、それを元に各サブシステム向けのRFPを作成する。要件リストができればそれをRFPに直すだけのように思えるかもしれないが、RFPに進む前に社内で十分なコミュニケーションを取るべきである。今回は、特にプロジェクト初期にコミュニケーションをとっておくべき内容をお伝えする。