2日め午後の最後のディスカッションでは、市町村での自治体クラウドの導入拡大や、都道府県による自治体情報セキュリティクラウドの整備など、自治体システムでのクラウド活用が拡大していく中で、BCP(業務継続計画)やコスト最適化の側面から、今後取り組むべき事項や留意すべき課題について、都道府県の方針に縛られずに議論した。

サービスの購入を進めてほしい

寺尾 勇氏
寺尾 勇氏
秋田県 企画振興部 ICT戦略統括監
桑原 義幸氏
桑原 義幸氏
広島県 総務局 情報戦略総括監

 事前のアンケート調査では、広報広聴用の対外Webサイトに関して、災害を考慮したBCPを策定済みと回答した都道府県が28団体、6割だったのに対し、サイバー攻撃を考慮したBCPを策定済みなのは13団体、3割弱にとどまった。サイバー攻撃を考慮したBCPを策定済みの13団体はいずれも、災害向けBCPも策定済みである。

 熊本県の島田氏は、4月の熊本地震の際に「広報広聴用の対外Webサイトをチェックする余裕がなかった」と明かした。「対外発信用のWebサイトは広報広聴部門が管理している。震災発生1週間後に、メディアに県のWebサイトが更新されていないという記事が載ってはじめて気づいた。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)も含めて災害時のネット活用は進めるべきであり、県や市町村のWebサイトに情報を掲出すべきだった」と、教訓を込めて振り返った(別掲記事参照)。

 総務省の猿渡知之審議官(地域情報化担当)は、「総合防災のためのシステム構築は、都道府県が進めるべき。発災直後に役立つだけでなく、避難所の運営を長期間支えるシステムなどが必要」と指摘した。

 加えて、「自治体クラウドも自治体情報セキュリティクラウドもそうだが、すべてをオンプレミス、組織内で自前で整備するのはもはや難しい。継続的に高品質のサービスを提供できるベンダーから、購入すべきだ」(猿渡氏)と、今後の方向性を示した。