初日は、会議冒頭で奈良県CIOである一松旬総務部長が挨拶。「マイナンバー、セキュリティといった現在の重要議題に加えて、データ標準化を含めた活用方法も議論していただきたい」と提言した。

 ディスカッション1は、2017年7月に情報連携の本格運用が始まるマイナンバー関連システムの最終テスト「総合運用テスト」がテーマ。初めに総務省の下仲宏卓個人番号企画室長が、スケジュールと準備作業を説明した(別掲記事)。テストでは、自治体間での事務手続きで正しく情報の照会・提供が行えることなどを確認する。11月から17年4月まで3クールに分けて実施する。

先行テストの内容を情報共有

一松 旬氏
一松 旬氏
奈良県 総務部長・CIO
水戸 信吾氏
水戸 信吾氏
宮城県 震災復興・企画部 情報政策課 副参事兼課長補佐(総括担当)
山口 均氏
山口 均氏
埼玉県 企画財政部 IT統括幹

 総合運用テストに向けた取り組み状況について、2団体から報告があった。まず宮城県の水戸信吾情報政策課副参事が、北海道・東北ブロックでの取り組みを報告した。同ブロックでは14年6月から担当者の意見交換会を開催。ベンダーやコンサルタントも出席し、毎回30程度の議題について半日かけて意見交換や議論を行う。6月の第8回では、「総合運用テストの一部を先行実施した山形県と情報を共有したほか、道県間のテストは時計回りで実施する素案を決めた」(水戸氏)。

 県独自には、テストの際に団体間で行うであろう事務手続きの洗い出しを実施。267手続きを一覧表にして、「ブロック内に加え、団体内統合宛名システム▼注1)の共通仕様書作成に参加した6県(茨城県・群馬県・栃木県・埼玉県・新潟県・石川県)にも提供した」(水戸氏)。

 市町村を対象に、提供すべき特定個人情報と所管課などに関する事前調査も実施した。すると「市町村間で大きなばらつきがあった。例えば提供すべき特定個人情報は、多い団体で46、少ない団体は7と回答。136ある照会事務に関しても大きな違いがあった。見落としは追加のシステム改修につながりかねず、結果一覧を添付して市町村に見直しを要請した」(水戸氏)。市町村同士で行うテストの組み合わせは、市町村の希望、住民基本台帳システムのベンダーが同一か、同じ時期に実施できるかなども考慮して決める。

 続いて、埼玉県企画財政部の山口均IT統括幹が状況を報告。同県は、関係21部門で構成するプロジェクトチームを14年1月に立ち上げた。「情報システム課が事務局となり、統合宛名システムの構築などを一元的に所管している。総合運用テストでの団体間の組み合わせ調整や、他都道府県・国の機関との連携も担当する」(山口氏)。

▼注1) 団体内統合宛名システム
各自治体が住民情報の管理に用いている庁内独自の「宛名番号」を、マイナンバーと対応付けるシステム。各自治体が整備する。