前回は、Ubuntu Linux 14.04のインストールについて説明した。今回は、ディープラーニングに必要なCUDA(Compute Unified Device Architecture)ツールキットをインストールする。

 ここでは、GUIが起動している前提で説明を進める。まず、ファイルをダウンロードする。Firefox(デスクトップ左側のラウンチャーにアイコンがある)を起動し、https://developer.nvidia.com/cuda-downloadsを開く。

 ここでOSなどを指定し、「Installer Type」は「deb(local)」か「deb(network)」のどちらかを選ぶ。「runfile(local)」もあるが、これから説明する方法でどうしてもCUDAをインストールできないときのみ利用する。というのは、runfileでのインストールを選ぶと、Ubuntuのパッケージ管理システムとは違う方法でインストールされるためだ。CUDAやDIGITS関連のアップデートをUbuntuの通常の方法でできなくなるばかりか、一部をapt-getなどのコマンドで更新してしまうと状態がおかしくなり、正しく動作しなくなる可能性がある。また、インストールしたソフトウエアのアップデートも独自コマンドで実行するため、面倒になる恐れがある。

画面1●CUDAのダウンロードでは、OSやアーキテクチャー、ディストリビューションなどを選択し、最後にInstall Typeを選択する。ここでは「deb(local)」もしくは「deb(network)」のどちらかにする
画面1●CUDAのダウンロードでは、OSやアーキテクチャー、ディストリビューションなどを選択し、最後にInstall Typeを選択する。ここでは「deb(local)」もしくは「deb(network)」のどちらかにする
[画像のクリックで拡大表示]

 「deb(local)」と「deb(network)」の違いは、最初にまとめてダウンロードするか、インストール中にダウンロードするかの違いである。ここは、Ubuntuのテストも兼ねて「deb(local)」をダウンロードすることをお勧めする(このファイルは1.9GBある)。なお前記のURLからは、最新版のCUDA 8.0がダウンロードされる。NVIDIAが公開しているものを含め、インターネットで公開されたドキュメントではCUDA 7.5で記載されたものもあるが、NVIDIAのPascalアーキテクチャーを採用したGPUを使う場合は、必ずCUDA 8.0をインストールする。

 なおGUIで作業していると、デスクトップ左のラウンチャーバーにアップデートを促す「ソフトウェアアップデータ」のアイコンが表示されることがある。あとで面倒になるので、クリックしてアップデートを済ませておいたほうがよい。これとは別に、初回起動時に「Ubuntu 16.04にアップグレードするか?」といったメッセージが表示されるが、これは実行しないようにする。

 Ubuntu 14.04では、パッケージ管理ツールであるapt-getコマンドでインストール可能なNVIDIAドライバーがいくつかあるが、CUDA 8.0は、特定バージョンの「NVIDIAディスプレイドライバ」(原稿執筆時点ではnvidia-367と呼ばれるパッケージ)に依存している。インストール時に自動的にドライバーを組み込むため、既にX Window Systemが動いてる状態なら手動でドライバーを組み込む必要はない。