ディー・エヌ・エー(DeNA)に綜合警備保障(ALSOK)、東武鉄道、ジャパンディスプレイ(JDI)、凸版印刷ーー。非常に幅広い業種にまたがった企業群だが、実はこれらの企業にはある共通点がある。NTTドコモと共同で第5世代移動通信システム(5G)の新サービス創出を目指し、実証実験を進めることに合意した企業だ。

 例えばDeNAとは、自動運転バスの遠隔監視や完全自動走行に5Gを活用できないか検討を進める(写真1)。東武鉄道とは東京スカイツリータウン・浅草エリアに5Gのネットワークを用意。観光客向けに、位置情報などを解析して、観光・商業情報を表示するような取り組みを検証する(写真2)。

写真1●NTTドコモが11月17日〜18日に開催した「DOCOMO R&D Open House 2016」で披露したDeNAとの5Gの共同実験の様子。無人運転バス「Robot Shuttle」に搭載したカメラから、5G回線を使って高精細映像を展示ブースに伝送する様子を見せた。今後は完全自動走行に5Gを活用できないか、検証する計画だ。
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写真1●NTTドコモが11月17日〜18日に開催した「DOCOMO R&D Open House 2016」で披露したDeNAとの5Gの共同実験の様子。無人運転バス「Robot Shuttle」に搭載したカメラから、5G回線を使って高精細映像を展示ブースに伝送する様子を見せた。今後は完全自動走行に5Gを活用できないか、検証する計画だ。
写真2●NTTドコモが東武鉄道と共同で進める東京スカイツリータウン・浅草エリアの5G共同実証実験のイメージ。4.5GHz帯と28GHz帯を用いる。東京スカイツリーの上部から地表に向けて、長距離伝送するような試験も検証予定という。
写真2●NTTドコモが東武鉄道と共同で進める東京スカイツリータウン・浅草エリアの5G共同実証実験のイメージ。4.5GHz帯と28GHz帯を用いる。東京スカイツリーの上部から地表に向けて、長距離伝送するような試験も検証予定という。
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 海外でも幅広い業種が5Gへの関心を示し、新たな協業体制が生まれている。例えば2016年9月には、ドイツのBMW、ダイムラー、アウディといった大手自動車メーカーと、スウェーデン・エリクソン、中国ファーウェイ、フィンランド・ノキア、米クアルコム、米インテルといった世界の大手ベンダーが共同で、5Gを活用したコネクテッド・カーを目指す団体「5G Automotive Association(5GAA)」を発足させた。

 2020年の商用化を目指した、現在の4Gの次の進化となる5G。これまでの無線技術の進化とは異なり、上記のように幅広い業種を巻き込んだ動きになりつつある。それは5Gが携帯電話やスマートフォンの延長上の進化だけではなく、IoT(Internet of Things)を含む、幅広い産業の基盤となる可能性を秘めているからに他ならない。

2017年にラボから街へ飛び出す5G

 そんな5Gは2017年に大きな飛躍を遂げそうだ。まず2017年度に、いよいよ日本国内で大規模な5Gの実証実験が始まる。産官学による日本の5G推進団体である「第5世代モバイル推進フォーラム (5GMF)」を中心に、東京と地方都市においてユーザー参加型の5G総合実証実験が計画されている。