2016年11月16日開催の「Scrum Ventures CEO Summit」では、新興の起業支援機関の先駆けであるY Combinatorの卒業生が「Inside Y Combinator」と題するパネルディスカッションに登壇。気鋭の起業家が、米Dropboxや米Stripeといった株式時価総額1000億円以上の企業をいくつも育ててきた秘密に迫った。
「投資してくれたり誰かを紹介したりしてくれることよりも大きな価値がある。それはY Combinatorに集まるのがとても賢い起業家たちで、そのコミュニティの一員になれることだ」。
人の呼吸を測るウエアラブル端末を提供する「Spire」の共同創業者でCEO(最高経営責任者)のJonathan Palley氏はこう断言した。モデレーターが最初に「Y Combinatorの何が特別なのか」と問いかけた時のことだ。「何が問題が生じたとしても、コミュニティの中に同じ経験をした人がいて、そこから解決策を導き出せる」と同氏は続ける。
Y Combinatorはプログラマーで起業家だったPaul Graham氏が2005年に創業したVC(ベンチャーキャピタル)だ。数百万ドル規模の資金を投資する他の大手VCと異なり、投資額は最大2万ドル程度。その代わり、数カ月に渡って集中的に技術や経営に関する助言などを与えて起業家を指導する。他のVCから投資を受けられるようになるまで育てるのが役割だ。クラウドコンピューティングの普及で起業のコストが極点に下がり、広く薄く投資するY Combinatorのような起業支援型のVCの登場につながった。