ITシステムは、今やあらゆる分野で使われており、まさに社会の基盤となっている。ビジネスの分野に目を向けると、経営のスピードアップは、ITなくして成し得ないし、ITそのもので商品が構成される例も珍しくない。

 こうしたITシステムの構築やフロントでのサポートをするのがSE(システムエンジニア)の仕事だ(図1)。経営に直結するため責任は重く、他分野のプロジェクトに比べリスクも高い。だが、社会のインフラを支え、ビジネスにおいては競争の源泉を生み出す職業という誇りと意識を持てれば、SEの仕事はチャレンジングで面白い。

図1●SEは社会の基盤を支える仕事を担う
図1●SEは社会の基盤を支える仕事を担う
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 SEの仕事は幅広く、最近は複数の役割を任されることが増えている。一体、どのようなスキルを身に付け、どのレベルまで達すれば「本物のSE」の合格ラインといえるのか。本特集では、SEの仕事内容や心構え、必要とされる能力について説明していく。

SEの仕事は多種多様

 SEとは一体何だろう?「SE」や「システムエンジニア」という言葉は、日本ではITを使った情報処理システムの設計・構築・運用を行う技術者の総称として使われている。しかし、ITにかかわる仕事や専門分野は多岐にわたり、近年のシステムの大規模化や技術進歩に伴い、分類や役割が増えているのが現状だ。

 情報処理推進機構(IPA)は、こうしたITスキルの複雑化に対応するため、個人のIT関連能力を明確化、体系化した「iコンピテンシ ディクショナリ2015」を作成・公開している。従来の「ITスキル標準(ITSS)」もこの中に含まれ、情報セキュリティ人材なども追加された40以上の職種が定義されている。このうちITSS部分の職種と専門分野一覧を図2に示す。これを見れば、一言でSEといっても、求められる役割は多種多様なことが分かる。

図2●ITスキル標準が示す職種と専門分野
図2●ITスキル標準が示す職種と専門分野
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 高度な能力を持つIT技術者を可視化する取り組みもある。情報処理学会の「認定情報技術者(CITP)」制度は、スキル熟達度レベル4以上の技術者を対象に資格認定している。