ハイパーコンバージドシステム(HCI)はPCサーバー(ノード)に、ハイパーバイザー(サーバー仮想化ソフト)、ストレージ仮想化ソフト、運用管理ソフトを搭載。ノード追加によるスケールアウトで迅速にインフラを拡張できる。今やPCサーバーはコモディティ化し、ハイパーバイザーも「VMware vSphere」や「Microsoft Hyper-V」などが調達可能。ストレージ仮想化ソフトさえ用意できれば、多くのベンダーがHCI製品を手掛けられる状況にある。

 米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)と米シスコシステムズは、いずれも自社製サーバーをHCI製品へ進化させて提供している。サーバービジネスで培った経験を生かし、新たな仮想化インフラの価値を顧客に訴える。両製品の特徴を見よう。

使い慣れたサーバーをベースにしたHPE

 「オンプレミス環境であっても、パブリッククラウドと同じようにアプリケーション実行基盤を運用できるようにする」。日本ヒューレット・パッカード サーバー事業統括本部 コンバージド・データセンター製品部の尾崎亨氏は、HCI製品の狙いをこう話す。

写真1●HPE Hyper Converged 380
写真1●HPE Hyper Converged 380
(出所:日本ヒューレット・パッカード)
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 スモールスタートできて拡張が容易という“クラウドらしいインフラ”を作るコンセプトは、米ニュータニックス(Nutanix)に通じる(関連記事)。「サーバーCPUは性能向上が著しいし、ストレージはSSDが主流になってきた。ハードウエアのテクノロジーの進化がHCIを後押ししている」(尾崎氏)。ハードウエアが高性能になり、オンプレミス環境でクラウドのようなリソースプールを構えることが現実的になってきたというわけだ。