この連載では主にSE出身の営業担当者に向けて、複数のメンバー(スタッフ)で効果的に営業活動を展開する「チーム営業」の進め方を、筆者の経験とノウハウを基に説明しています。

 連載第4回(会話もルーチンワークも苦手な人に向く営業の作業はある?)から第6回(「そんな作業は担当したくない」と言われないよう業務を割り当てるコツ)までで、チーム営業での作業分担を決める方法を説明し、前回(受注にすぐつながる案件とつながらない案件、担当者に必要なスキルは正反対)はケーススタディとして、短期商談と中長期商談の作業分担についてお話ししました。

 今回はチーム営業の欠点と、その克服策としてCRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援)といったITをどのように生かせばよいかを取り上げます。

「情報の分断」はチーム営業の構造的問題

 チーム営業は営業の作業を分解し、それらの作業を各営業スタッフに最適な形で割り当てることで、効率化と効果の向上を促します。筆者が提唱する営業の進め方である「ロジカルセールス」の根幹を成すもので、効果も実証済みです。

 ただ、チーム営業には欠点があります。作業を分けて分担するので「情報の分断」が生じるのです。

 連載第2回(営業経験者を中途採用しても受注が伸びない理由)で、個人営業と組織営業の違いを説明しました。個人営業では、同じ営業スタッフが案件に関する全ての営業折衝を担当します。これに対し、組織営業では一つの案件を複数のスタッフで分担して担当するのが基本です。チーム営業は組織営業を分業制で実践します(図1)。

図1●組織営業と個人営業の違い
図1●組織営業と個人営業の違い
[画像のクリックで拡大表示]

 個人営業は営業の進め方が属人的になり、効率はよくありません。一方で、同じスタッフが案件に最初から最後まで関わるので、案件や顧客に関する全ての情報を把握できるという利点があります。