この連載では主にSE出身の営業担当者に向けて、複数のメンバー(スタッフ)で効果的に営業活動を展開する「チーム営業」の進め方を、筆者の経験とノウハウを基に説明しています。

 前回(「そんな作業は担当したくない」と言われないよう業務を割り当てるコツ)までで、チーム営業での作業分担を決める方法を説明しました。

 今回はケーススタディとして、短期商談と中長期商談の作業分担をどのように決めるかを紹介します。

ケーススタディ:短期商談と中長期商談の担当を決める

 問い合わせを受けた顧客を訪問した。商品を購入する意思はあるようだ。しかし、すぐに購入する雰囲気はなく、時間がかかりそうだ──。このようなケースは珍しくありません。「今期は予算が取れない」「使用中のシステムの償却が終わっていない」など、理由は様々です。

 営業を担当するあなたは、どのような手を打つべきでしょうか。早期導入を促す、というのは一つの手です。例えば、以下のように話します。

「新システムを導入すると、これだけの効果が見込めます。特別予算を計上してでも、早期に導入した方がメリットがあると思うのですが、いかがでしょうか」

 しかし、これでうまくいくとは限りません。むしろ、どう説明しても早期導入は難しい、という場合がほとんどでしょう。

商談の作業は「短期」と「中長期」で大きく異なる

 以前の連載(訪問が「受注」につながらないと無意味、受注の極意を学ぶ)で、受注するために営業折衝している以上、「いつ発注をいただけるか」を常に意識して折衝を進める必要がある、と説明しました。

 上記の場合も、このことが当てはまります。短期間で受注できる「短期商談」でないことが分かったら、受注までにそれなりの期間を要する「中長期商談」として営業に臨む必要があります。