この連載では主にSE出身の営業担当者に向けて、筆者の経験とノウハウを基にチーム営業の進め方を説明しています。前々回(「営業経験ゼロ」のSE出身者が成果を出せる必殺技、教えます)と前回(営業経験者を中途採用しても受注が伸びない理由)で、SEと営業で仕事の進め方がどう違うか、IT業界ではなぜチームで営業を進めると効果的か、をご理解いただけたと思います。

 今回から、具体的なチーム営業の進め方に話を進めます。その前にまず、営業で成果を上げるために何が必要なのかを復習しておきましょう。ここを押さえておかないと、チーム営業に取り組んでも期待する成果を上げることができません。

「営業の目的・目標」と「営業のストーリーと体制」が必要

 営業で成果を上げるためには、以下の二つに取り組む必要があります。

  1. 営業の目的と目標
  2. 営業のストーリーと体制

 ごく当たり前のもののように感じるかもしれません。まさにその通りです。しかし、当たり前のことをせずに走り出す、というケースが営業の現場では珍しくありません。

 ポイントは、「営業の目的・目標」と、それらを達成する手段である「営業のストーリーと体制」のどちらも必要だということです。どちらか一方だけでは、期待する成果は得られません。

 成果の向上に大きく影響を与えるのは、営業のストーリーと体制のほうです。この連載では、主にチーム営業のための体制づくりや運用について取り上げますが、ストーリーと体制はどちらも大切です。営業のストーリーなしに、営業体制を検討するのは不可能です。

 営業のストーリーは、受注までの営業折衝の流れを示したものです。どんな顧客に絞って商品をPRするのか、引き合い(リード)をどのように獲得するのか、営業折衝をどう進めるかなど、ターゲット顧客の設定からリードの獲得、クロージングまでの進め方をシナリオを作成する要領で決めていきます。