パーク24もKPI(重要業績指標)を活用して、サービス向上に挑む1社だ。コールセンターが追いかけるKPIはたった1つ。「カーシェアの利用件数当たりのコールセンターへの入電数」を表す「入電率」だけ。入電率が下がるほど顧客満足度が上がると見なし、電話に頼らずに済むサービス追究に心血を注ぐ。

 「KPIの種類を増やそうと思えば増やせるが、追いかけるのが大変になる。細かいKPIを設定すればするほど問題の原因も複雑になり、管理がぐちゃぐちゃになりがち。これではサービス改善が進まない。そこでグループ各社には、カーシェアリングサービスのコールセンターが追いかけるKPIは『入電率』だけと宣言し、KPIは入電率に集約した」

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 パーク24のグループ会社で電話応対業務を手がけるタイムズコミュニケーションの齊藤智之執行役員サービス推進部長は、同社が追求するKPIについてこう説明する。KPIを1つに絞り、一点突破でサービス改善につなげている典型例だ。

 入電率とは「カーシェアの利用件数当たりのコールセンターへの入電数」のこと。要は1回のサービス利用で、顧客から何回電話がかかってくるかを見る指標である。

 パーク24が入電率にこだわるのは「お客様が電話(コールセンター)に頼らないと困るような、ストレスの大きいサービスを提供していること自体が“悪”と考えているため。入電率が高いうちはお客様の評価は低い」(齊藤執行役員)。

電話に頼らずに済むサービス追求

 パーク24が提供するカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」は、2009年5月にサービスを開始。現在までに車の台数は1万4000台を超え、国内シェアの約7割を握る最大手にまで成長。パーク24の業績向上に貢献している。

 全国に約1万6500カ所ある時間貸し駐車場「タイムズ」に車を置くことで顧客の利便性を高めたうえ、ガソリン代と保険料込みで15分206円からという低料金で、日本では当時まだ珍しかったカーシェアを定着させてきた。会員数は約60万人と着実に増えている(いずれも2016年3月末時点の数字)。

 そんなカーシェアの躍進を裏で支えるのがKPIだ。同社はKPIの設定と追求を徹底することで、持続的な成長を続けてきた。主力の貸し駐車場なら「出庫当たりの入電数」を駐車場の入電率ととらえ、カーシェアとは別のKPIとして管理している。