大阪ガスは社員のデータリテラシー研修にグループを挙げて力を入れている。基礎講座の受講者は1000人を超え、ビジネスの現場で早くも成果を上げる。最上級編の今回はエクセルでの分析にとどまらず、統計解析ツールも用いて高度な分析を試す。

 大阪ガスの研修受講者は過去に初級・中級と上級コースAを体験済みだが、上級コースBは難易度が大きく跳ね上がる(写真)。使う道具もエクセルだけでなく、統計解析ツールに広がるのがこれまでとの違いだ。

写真●上級コースBの研修の様子。エクセルだけでなく、統計解析ツールも使う。講師は神戸大学の日置孝一氏
写真●上級コースBの研修の様子。エクセルだけでなく、統計解析ツールも使う。講師は神戸大学の日置孝一氏
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 研修はいきなり各論から入る。最初は集計結果からの有意差の見分け方だ。初級・中級で学んだ「クロス集計」の結果から、有意に大きい(または小さい)箇所を客観的に見分ける方法「カイ二乗検定」を習得する。カイ二乗値とはクロス集計表全体で、実績値と期待値にどれだけのかい離があるかを示すものだ。

 例えば、ある商品の売れ行きが、その地域や機器の違いを差し引いても「A地域における商品Xの販売は好調だ(または不調だ)」といえるかを検証する(スライド1)。解決の方針としては、人口や顧客数といった地域ごとの違いと、普及率や市場規模、買い替えサイクルといった商品ごとの違いによらず、単純に期待される「A地域の商品Xの販売数」(期待値)を推定し、実績値と比較して、販売の好不調を確認する。

スライド1
スライド1
各スライドは大阪ガスグループと日置氏が共同で作成
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 ここでは、京都と兵庫、大阪の3都市で、ロードレーサーと軽自転車、マウンテンバイクの3種類の自転車のクロス集計結果を基に、それぞれの期待値を算出する(スライド2)。すると大阪でのロードレーサーの実績値は期待値を上回っていることが分かった。

スライド2
スライド2
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