上位ベンダー間の争いは依然として激しい。首位と2位の差が3ポイント以下の部門が半数を占める。NEC、日立製作所、富士通、日本IBMといった大手IT企業は、強みとする部門でそれぞれ1位を獲得した。

 21回目に当たる「顧客満足度調査 2016-2017」では、ユーザー企業や組織で製品・サービス導入の意思決定を担うCIO(最高情報責任者)や情報システム部長などに対し、28部門ごとに満足度を尋ねた(別掲記事「調査概要 」を参照)。

 「クラウド基盤サービス」セキュリティ分野への関心高まると「CRM(顧客関係管理)/SFA(営業支援)ソフト」の2部門を新設したほか、「UNIXサーバー」と「ミッドレンジサーバー」を「エンタープライズサーバー」に統合、データベースソフトの「オープン系」「独自OS系」の区分を撤廃、などの変更を実施した。評価項目や総合満足度の算出方法も変更した。

 全体では、上位ベンダー同士の接戦が目立つ。全28部門の半数に当たる14部門で、首位と2位の差は3ポイント以下。「ネットワークサービス(有線型)」など5部門では、差が1ポイント以下だった。

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 NEC、日立製作所、富士通、日本IBMといった大手IT企業は、それぞれ強みとする部門で1位を獲得した。

 NECは「PCサーバー」、日立は「ストレージ」「統合運用管理ソフト(サーバー/ネットワーク管理系)」、日本IBMは「エンタープライズサーバー」「メインフレーム」「データベースソフト」でトップとなった。

 富士通は「システム運用関連サービス(メーカー)」に加えて新設した「CRM/SFAソフト」で1位を獲得した。同部門はパッケージソフトだけでなく、クラウドサービスを提供する企業を評価対象にしている。

 日本ユニシスはサービス関連部門のうち、「ITコンサルティング/上流設計関連サービス」と「システム開発関連サービス」で2冠を達成した。

クラウド基盤の利用者はコスト重視

 新設部門の「クラウド基盤サービス」では、外資系企業を抑えてNTTコミュニケーションズが1位となった。同部門は、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)とPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を提供する企業の満足度を尋ねたものだ。

 調査では各項目の満足度に加えて、「重視度」という指標を算出している。各評価項目について「全回答者の何%が重視しているか」を表したもので、総合満足度を算出する際に評価項目を加重平均するために使う。

 「クラウド基盤サービス」の重視度を、同じくシステム基盤を構成する「PCサーバー」「エンタープライズサーバー」と比べると、コスト重視の傾向が浮かび上がる。

 3部門の重視度で最も高いのが信頼性である点は同じ。「クラウド基盤サービス」ではコストが2番目に多かった。これに対し、「PCサーバー」で2番目につけたのは性能・機能で、コストは3番目。「エンタープライズサーバー」では、コストは4番目だった。

 システム基盤を必要に応じて利用できるのが、クラウドの特徴である。ユーザー企業は、システム構築や運用のコストをオンプレミスよりも抑えやすい点を重視している表れと言えそうだ。