大手携帯電話事業者を超える顧客満足を目指す──。2016年初め、MVNO(仮想移動体通信事業者)サービス「楽天モバイル」に関する会見で楽天の幹部はこう宣言した。勢いはある。調査会社のMM総研によると2016年3月末、同社は格安スマホを提供するMVNOシェアで3位に躍り出た。原動力は何か。大尾嘉宏人・執行役員 楽天モバイル事業長に聞いた。

(聞き手は高槻 芳=日経コンピュータ

 

携帯大手や他のMVNOとの違いは。

楽天の大尾嘉宏人・執行役員 楽天モバイル事業長
楽天の大尾嘉宏人・執行役員 楽天モバイル事業長
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 当社が手がける電子商取引(EC)やクレジットカード、スマホなどの利用でたまる「楽天スーパーポイント」が軸だ。2016年夏から、1ポイントにつき1円として楽天モバイルの支払いに充当できるようにした。

 現在約160万人いる当社サービスのアクティブユーザーは、1カ月に平均1350ポイント以上を獲得している。例えば、楽天モバイルで音声通話付きのSIMカードは月額1250円(税別)から使える。この基本料金が、ポイントで支払えば実質的に無料になる。  楽天モバイルの開始当初から、こうしたサービスを目指してきた。MVNOの多くは携帯大手のスマホ料金に対して「月々の支払いが半額以下になります」といったアピールをしてきた。だが、楽天スーパーポイントを軸に「楽天経済圏」を活用してもらえば、「今月のスマホ料金はいくらだろう」と気にせずに済むようになる。