優れたIT人材の獲得競争が熱を帯びている。注目のネット企業やスタートアップのCTO(最高技術責任者)は、IT人材にどう向き合い、どう評価するのか。サイバーエージェントの長瀬慶重氏、freeeの横路隆氏、DMM.comラボの城倉和孝氏が語った。司会はリブセンスの桂大介取締役が務めた。


自己紹介を兼ねて、皆さんが今の職に就かれるまでの経緯や現在のお仕事の内容をお聞かせください。

対談はリブセンスのオフィスで開催した。左から司会を務めたリブセンスの桂大介氏、サイバーエージェントの長瀬慶重氏、freeeの横路隆氏、DMM.comラボの城倉和孝氏
対談はリブセンスのオフィスで開催した。左から司会を務めたリブセンスの桂大介氏、サイバーエージェントの長瀬慶重氏、freeeの横路隆氏、DMM.comラボの城倉和孝氏
(撮影:陶山 勉、以下同)
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長瀬 私はもともとNTTの研究所で研究開発をやっていまして、2005年にサイバーエージェントのアメブロが立ち上がるころぐらいに転職しました。まったく技術者がいないところから採用し、評価制度を作っていって、今だいたい600人とか700人ぐらいの技術者を管轄しています。

 今サイバーエージェントはテレビ朝日さんと一緒に「AbemaTV」というサービスをやっていまして、私はその開発を主に担当しています。

サイバーエージェントの長瀬 慶重執行役員AbemaTV開発局長
サイバーエージェントの長瀬 慶重執行役員AbemaTV開発局長
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横路 私はまず2010年に、カメラを作りたいと思ってソニーに新卒で入社しました。2012年に現在のfreeeの佐々木 大輔社長と出会って、スモールビジネスで何かやりたいということで一緒に当社を創業しました。

 当社の事業は日本企業のだいたい8、9割を占める中小企業を、テクノロジーで自動化したり効率化したりする、そして生産性を上げていくお手伝いをしています。

 創業から4年ぐらいで、全社員250人のうちエンジニアが70人です。日本のクラウドの会計ソフトと給与計算ソフトについて、シェアがナンバーワンというところまで来ました。今は500人くらいの本当にちょっと大きめの企業向けに、しっかりしたソフトを作っていこうと取り組んでいます。それと「スモールビジネスAIラボ」という組織を立ち上げて、人工知能(AI)を使って企業の生産性を高めるための研究もしています。

城倉 私が所属しているのはDMM.comラボという会社です。DMMという会社には分かりづらい印象があるかもしれませんが、「.com」と「.comラボ」という会社があります。どう違うのかというと、.comは営業会社で、エンジニアがいません。従業員はだいたい300人くらいです。.comラボの方が開発、それから運営とかマーケなどを一手に担っています。こちらがだいたい今1800人くらいの規模で、東京と金沢の2拠点で運営しています。エンジニアはシステム本部の所属が300人ぐらいで、ゲームのエンジニアを足すと500人ちょっとくらいです。

 私はもともとシステムインテグレータで働いていまして、企業向けの受託開発だとか、その後、パッケージの開発とかをやっていました。BtoCの事業に取り組むのは当社が初めてです。