日本ユニシスグループの原点は、世界初のコンピュータとされるENIACにある。ENIACを開発したジョン・エッカート博士とジョン・モークリー博士が設立したコンピュータ会社が合併を繰り返して、のちの米ユニシスになるからだ。両博士の時代から今日に至るまで、テクノロジーは着実に進化を遂げてきており、今やデジタルは世界を大きく変えようとしている。なかでも、AI(人工知能)やロボティクスといった技術が果たす役割は極めて大きい。

 日本ユニシスグループでは、来る2020年を見据えた中期経営計画において「ビジネスをつなぎ、サービスを動かす。ICTを刺激し、未来をつくり出そう」というビジョンを掲げている。これまでの経験と実績をバックボーンに、新たなサービス基盤を構築し、革新的なサービスを実現していきたい。これに当たっては、我々のコーポレートステートメントである「Foresight in sight」、要するに「先見性」と「洞察力」で、取り組んでいきたい。

取り組み推進のカギを握るオープンイノベーション

 それには、業界をまたがったエコシステムの構築こそが不可欠だ。未来を予見して、そこで求められるであろう、これまでにないサービスへの気付きを得る。協働する外部の企業との間でビジョンを共有しサービスコンテキストを構想する。さらに、事業化を支えるビジネスプラットフォーム、およびICTプラットフォームを実装していくというアプローチだ。その際には、我々が独力でやるのではなく、オープンイノベーションやオープン&クローズという考え方で、広く世の中の研究機関やベンチャー企業を巻き込みながら進めていこうと考えている。

 例えば、我々がエネルギー関連企業のチャレナジーと連携して展開している「次世代風力発電サービス」の取り組みもその一例である。同サービスは、チャレナジーが開発した世界初の「垂直軸型マグナス式風力発電機」と、日本ユニシスのエネルギー管理クラウドサービス「Enabilityシリーズ」およびIoTビジネスプラットフォームを統合したもの。台風や爆弾低気圧などの強風にも対応し得る風力発電と最適なエネルギー管理機能を併せ持つ。再生可能な自然エネルギーによる安定的な電力供給の実現に貢献していこうとしている。

 同様に我々は、オープンイノベーションをキーワードに様々な分野のスタートアップ企業との間に密接な協業関係を構築し、それら企業が持っているテクノロジーと我々が有する豊富なアセットを組み合わせて、時代の要請にスピーディーに応えていくのだ。

ビジネスエコシステム実現に向けた4層モデル
ビジネスエコシステム実現に向けた4層モデル

人間に対峙するAIではなく人に寄り添うAIの実現を目指す

 こうした展開に不可欠なテクノロジーが、冒頭でも述べたAIである。日本ユニシスグループでは「AI, by our side」をキャッチフレーズに取り組みを推進している。人間の知的活動を代替して人に対峙するAIではなく、人に寄り添い、人間の知的活動を刺激するようなAIの実現を目指している。

 例えば、先ごろオープンした仙台パルコ2において、日本ユニシスでは米FellowRobots社の自律移動型サービスロボット「NAVii(ナビー)」を活用した実証実験を開始した。そこでは、NAViiとソフトバンクロボティクスの感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」がコラボレーションして、仙台パルコ2を訪れた顧客に対してフロア案内を行い、顧客が行きたい店舗まで誘導する検証を行っている。このような形で2種類の異なるロボットのコラボレーションによる接客は世界でも珍しい試みである。

 そのほか、AI、ロボットを活用した高齢者の見守り支援システムの実証実験も実施している。これは日本ユニシスが産学連携により進めているもので、家族間のコミュニケーションを支援する小型ロボット「BOCCO(ボッコ)」(開発:ユカイ工学)と、各種センサー類を活用している。例えば、温度センサーでの計測値に応じてエアコンのオン/オフを促したり、対象者が身に着けている加速度センサーで長時間動きのないことを感知すると、体を動かすように促したりといったアドバイスを高齢者に対して行う。さらには、マイクロ波センサーで対象者の心拍や呼吸などの状態も把握できるようになっている。

 単に見守りという観点にとどまらず、高齢者の日常生活に関わる詳細なデータの収集が可能になるという点で、予防医療の研究に寄与することも大いに期待されているところだ。

 日本ユニシスグループが念頭に置いているのは「未来をもっと面白いものにする」ということ。それには、様々な企業や団体との間で積極的にエコシステムを構築していくことが不可欠だ。ぜひ皆様と一緒に、新たな面白い未来を創造していきたいと考えている。