宇佐木:そういえば、この博物館プロジェクト、ドキュメントの提出が必須だから、そろそろ作らないと。トラちゃんよろしくね。
SE虎岡:よろしくって何が?
宇佐木:ドキュメント。
SE虎岡:このドキュメント群って、俺の仕事なの?
宇佐木:うん。いつもみたいにチョチョッと頼むよ。
SE虎岡:いやいや、チョチョッとって量じゃないよ!こういうのは早く言ってよ。別件も抱えてるから。このプロジェクトは補助で入ってるだけだし、メインSEはPMと兼任でウサさんでしょ?
宇佐木:うん、企画書にはそう書いたけど、僕にSEなんてできるわけないよ。
SE虎岡:そりゃそうだろうけど…。俺はともかく、荒川さんはこのこと知ってるの?
宇佐木:トラちゃんが書くってこと?
SE虎岡:俺の話じゃないよ!詳細設計書だよ。今回の案件は、詳細設計書が必要ですって言ってある?
宇佐木:ないけど、大丈夫じゃない?
SE虎岡:大丈夫じゃないって!!基本設計書はどうせそんなことだろうとは思っ てたけど、詳細設計書は荒川さんに言わないと、データベースの定義書しかでてこないよ。
宇佐木:それだけだと、トラちゃん書くの難しいの?
SE虎岡:難しいというか、いつも詳細設計書は、プログラマーに書くようにお願いしてるんだ。こちらは、プログラマーに書いてもらって書式を整えるだけなんだよ。
宇佐木:(詳細設計書って、トラちゃんが書いてたんじゃなかったんだ…)
SE虎岡:手伝ってあげるから、まずは必要なドキュメントをリストアップして、誰が担当するか相談しよう。基本設計書も、全部俺が書くのは無理だよ。鹿野君!ちょっと来てくれる?
「テキトーによろしく」で出来るものは…
宇佐木さんが、プログラマーの荒川さんに「サイト見てテキトーによろしく」などと言ってシステムを作らせていたために、顧客の要望と成果品にズレがでてしまったことは覚えているでしょうか。
実はあの時必要だったのは、「基本設計書(外部設計書)」や「画面設計書」と呼ばれるものだったのです。それをおざなりにしてしまったために、システムは文字通り「テキトー」に作られてしまいました。