IBMやマイクロソフトなど、かつてのITの盟主ですら、デジタルディスラプション(デジタルによる破壊)の直撃を受けた。実は、アップルもそこから逃れることはできない。デジタル化に対応できない日本企業の末路は暗い、と警告を発する特集の第3回では、彼らの“焦り”との対比で、日本企業の危機感の無さを警告する。

 これまで成功を収めてきたIT企業も、今後のデジタル時代を乗り切れるかどうかは定かでない。

 は主要IT企業の直近4年間時価総額の推移だ。ソーシャルメディアの代表格であるフェイスブックが上場した2012年5月9日の時価総額を100として、2016年4月末までの時価総額の推移をグラフ化した。

図●主要IT企業の時価総額の推移2012年5月の時価総額を100とした指数
図●主要IT企業の時価総額の推移2012年5月の時価総額を100とした指数
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 ITの巨人IBMは時価総額を半分近くまで減少させた。IBMの歴史はコンピュータの歴史そのものである。1960年代からコンピュータの進化をリードし、いまだにメインフレームでは高いシェアを誇る。1990年代には業績が悪化するが、ルース・ガースナーによる改革で、システムインテグレータ、さらにはソリューションビジネスへと自らの事業を進化さ せてきた。

 今後の中核事業として、クラウドなどに加え、「Watson」といったAIによるソリューション提供を掲げている。それでも、新たなビジネスの成長スピードが、既存ビジネスの減速に追いつかず、振るわない決算が続いている。