ITproの名物コラム「木村岳史の極言暴論!」。システム開発の丸投げ、人月商売、多重下請け構造など、ユーザー企業のIT部門とITベンダーが織り成す様々な不条理に、鋭く切り込む記事は多数の読者の支持を集めている。 この極言暴論の記事をベースに、記事を担当している私がナマで講演するのが「極言暴論ライブ!」だ。

 今回は「IT部門とSIer、用済みへのカウントダウン」と題して、ユーザー企業のIT部門やSIerなど既存のIT業界の存続に関わる危機が間近に迫っていることについて、警鐘を鳴らす。私はこれまでも、IT部門やSIerが企業の経営者や事業部門から“用済み”扱いされている現状を厳しく指摘してきた。ところが、その“用済み”化が私の想定を超えるスピードで進んでいるのだ。

写真●編集委員の木村岳史がナマで講演するのが「極言暴論ライブ!」だ
写真●編集委員の木村岳史がナマで講演するのが「極言暴論ライブ!」だ
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 IoT(インターネット・オブ・シングス)やAI(人工知能)を活用した新ビジネス、そして米ウーバーテクノロジーズなど、既存の産業を根底から覆すディスラプター(破壊者)の登場を目の当たりにして、日本企業の経営者の多くがIT活用の重要性を明確に意識した。この1年、いや、この半年で経営者の意識は驚くほど変化した。

 例えば、今やメガバンクではFinTech関連の取り組みについて、経営者からトップダウンで直接指示が飛ぶ。製造業では、経営企画が元締めになってIoT関連サービスの可能性を探る。自動車メーカーのように、米国のシリコンバレーに研究所を設置し、現地の優秀な研究者や技術者のリクルーティングに乗り出す企業も出てきた。

 こうした企業の将来を賭けた取り組みに、ITの専門家集団であるはずのIT部門はほとんど関与できていない。「経営者がITを分からないから、何もできない」などと言っているうちに、ITの重要性を認識した経営者に「IT部門は役に立たない」とプロジェクトから外されてしまっているのだ。ITを使った新ビジネスなら事業部門、ITの新技術のことなら研究開発部門が担う。

 同じことはSIerなどの既存のITベンダーについても言える。付加価値のほとんど無い基幹系システムなどの案件にかまけているうちに、急速に時代遅れになりつつある。IT部門だけを顧客にしているようでは、ユーザー企業の真のニーズはつかめない。受け身の人月ビジネスに変えようとしない限り、間もなく多くのITベンダーが用済みとなる。

 IT部門が社内で意味のある存在として生き残り、大量の技術者を抱えるIT業界がディスラプション(破壊)されることなく発展できるかどうかは、おそらくこれからの1年で決まるだろう。IT部門やIT業界にこそ、ITを活用したイノベーションが必要だ。そのための気付きを得るため、「極言暴論ライブ!」を聞くべし!!

 ITpro EXPO 2016は、2016年10月19日から10月21日まで、東京ビッグサイトにて開催される。記事で紹介した講演は10月20日(木)16:00~16:30、展示会場内のメインシアターで行われる。来場事前登録をしていただき、ぜひ会場に足を運んでいただきたい。