高所恐怖症の人にはお勧めできないが、今回のITpro Expo 2016の展示会場では、高層ビルの足場を歩くという恐怖体験を味わえるVR(仮想現実)コーナーを設ける。頭部にヘッドマウントディスプレイ、足にセンサーを装着し、足場から一歩踏み外すと真っ逆さまに落ちていく。

 実はこれ、高所での恐怖を味わうことで、安全意識の向上を目的とした企業研修コンテンツ。実際に大手電設会社が安全教育研修に用いているVRコンテンツをそのまま体験できるようにする。

 VR元年といわれる今年、各社のヘッドマウントディスプレイ製品が出そろった。ゲームばかりに注目が集まりがちだが、VRはゲームだけではなく、今後、介護・医療・建築など企業での活用が急速に広がるとみられている。実際、一部の企業で導入が始まりつつあるが、多くの企業ではまだVRをどのように業務に生かすか見えていないのが実情だろう。そこで、ITpro EXPO 2016ではパネル討論「企業ITにVRを導入すべきか?」を開催する。

写真●10月は「PlayStation VR」が発売されるなど、VRに対する関心が高まっているだけに注目の講演だ
写真●10月は「PlayStation VR」が発売されるなど、VRに対する関心が高まっているだけに注目の講演だ
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 討論に参加するのは、企業向けVRの分野では先端を走る3人。楽天トラベルや楽天ウエディングなどでVRサービスをいち早く開発、投入した楽天技術研究所の森所長。一方向から撮影した写真ではその場の雰囲気がよくわからない宿泊先や披露宴の会場をあたかもその場にいるかのように確認できる。

 「見えないデータを見える化するためにVRを使う」。こう主張するのは、二人目のパネリスト大成建設技術センターの森川氏。データセンターなど建物内の気流などを可視化することで、設計段階で気流の流れを確かめ、冷却効率を高める。もう一人のパネリストは、国内外の様々なVR関連ベンチャーへの投資事業を展開するコロプラネクストの山上社長だ。

 3者が、VRを導入する意義や未来像、課題を徹底討論する予定だが、今回はあえてフリートークの時間を多くとった。いずれも企業VRについては、強い考えを持ち、語りだすと止まらない。互いに共感するところもあるだろうし、意見対立もありえる。率直なところ、議論がどういう方向に進むかわからない怖さもあるが、それがまた面白いはずだ。

 3人を仕切るのは、これまたVRに関する知識量では右に出るものがいないVR専門メディア「Mogura VR」の久保田編集長。3人のトークをどうまとめるのか、楽しみである。詳しくはこちらから。ITpro EXPO 2016は、2016年10月19日から10月21日まで、東京ビッグサイトにて開催される。記事で紹介した講演は10月21日(金)12:10~12:50、展示会場内のアリーナで行われる。来場事前登録をしていただき、ぜひ会場に足を運んでいただきたい。