顧客システムの開発やアウトソーシング、クラウドサービスなどサービスの時代だと言われて久しい。だが、肝心の売上高は、IT各社の決算数値を見ても、セグメントがまちまちのためよく分からない。そこでこの“伏魔殿”に切り込み、独自に集計して結果を表にまとめてみた()。

表●2016年度上半期(4月〜9月)のITサービス事業売上高
表●2016年度上半期(4月〜9月)のITサービス事業売上高
[画像のクリックで拡大表示]

 主に国内で活躍する年間サービス売り上げ1000億円超のITサービス企業14社を選び、2016年度上半期(4月〜9月)のITサービス実績を調べた。14社のサービス事業合計は4兆4323億円で前年同期を1014億円下回り、2.2%減少した。

 過去数年、大手金融機関やマイナンバーなどで潤ったとされた国内IT業界も、それが一巡しそろそろ通常ぺースに戻りつつあることが、上半期実績から読みとれる。

 実際、IT市場調査のIDC Japanが11月発表した2016年の国内IT市場はマイナス0.6%の見込みである。2017年も0.6減の予測だ。14社の上期のマイナス2.2%減はその見通しを若干上回る落ち込みとなる。ただし、表にある14社中、日本IBMまでの5社を上位グループ、他の9社を中位グループと分けてみると、景色が異なるようだ。

顧客は大手ベンダーよりも技術を持った中堅ベンダーを選ぶ

 上位グループは合計3兆3473億円で3.7%減。富士通とNTTデータの海外売り上げ抜きでみると1.6%減である。これに対して中位9社のサービス売り上げは1兆850億円で1.0%の微増となった。この2.6ポイント差について、EMシステムコンサルタントの東山尚代表は、次のように指摘する。

 「テクノロジーやビジネスモデルがIT直結で続々登場するデジタル時代に入り、顧客とベンダーの付き合い方に変化が見られる。顧客は、従来の基幹システムのようにまず大手ITベンダーを呼ぶのをやめ、スピードやデザインを重視し、技術を持った中堅どころに直接アクセスするようになった。特にコンサルタントを抱え、下請けを使わないアクセンチュアの躍進が注目だ」。