サーバー市場が伸び悩むなかで、つい3四半期前まで倍々ゲームで伸長してきたサーバー分野がある。「ハイパーコンバージドシステム」がそれだ。米ニュータニックスがこの市場のリーダーと目されている。サーバーを高度に仮想化して、コンピュート(計算・処理)機能とストレージ機能を提供する拡張性に富んだシステムだ。

 この急成長市場にオープンソースソリューションのプロバイダーである米レッドハットが進出すると2017年6月末に発表した。レッドハット日本法人も国内販売を検討している。その際、おそらく従来のような直販モデルではなく、サーバーベンダーや大手ディストリビュータなどのビジネスパートナー経由で販売することになるとみられる。

 レッドハットは今回のハイパーコンバージドシステムで、大企業や中堅企業の支社・営業所などのROBO(リモートオフィス、ブランチオフィス)用途、中小企業のセンターマシン、成長が期待されるIoT(インターネット・オブ・シングズ)エッジコンピューティングを狙う。

急成長遂げるハイパーコンバージド市場

 調査会社の米IDCの定義によれば、ハイパーコンバージドシステムは「コンバージドシステム(サーバー、ストレージ、ネットワーク機器およびソフトウエアの組み合わせをベンダーが認定したうえで統合したシステムパッケージ)」の一翼を成す分野。

 コンバージドシステムは、システムを構成する主要なコンポーネントを事前に構成し組み立てるため、インフラ担当者の負担削減や導入・運用管理コストの削減、大幅な納期短縮、障害削減が実現するとされている。プライベートクラウドの構築も可能だ。

 ハイパーコンバージドシステムは、2015年の第1四半期(1〜3月)にユーザー企業からの支出が1億5000万ドル(168億円)と小さな市場だった。しかし、1年後の2016年第1四半期は2.7倍の4億400万ドル(453億円)、2年後の2017年第1四半期は4.4倍の6億6500万ドル(745億円)と急成長を遂げている(図1)。

図1●ハイパーコンバージドシステムの出荷実績(世界市場)
図1●ハイパーコンバージドシステムの出荷実績(世界市場)
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 年間で見ると2016年は2015年に対し118.1%増の21億5300万ドル(2411億円)。112億1800万ドル(1兆2564億円)のコンバージドシステム全体に占める比率は、2015年の9.3%が2016年は19.2%とほぼ5分の1までに増えた。2016年国内サーバー市場(12.8%減の4421億円、IDC Japan調べ)の半分強に匹敵する。