本連載『ソフトウエア、それが問題だ~Software Matters』では、ソフトウエアの諸問題と対策を日本や世界の論客の方々と考えていく。

 第1回として米カリフォルニア大学バークレー校のRobert E.Cole(ロバート・コール)名誉教授の寄稿「日本のリーダーはソフトウエアの本質を理解していない」を、第2回は新谷ITコンサルティングの新谷勝利代表の寄稿「自己研さんは重要、だがそれだけで人は育たない」を、第3回はDAMA日本支部の吉岡健理事の寄稿「システム再構築のカギ、『エンタープライズデータモデル』を作ろう」を掲載した。

 今回はビジネスモデルやそれを支えるソフトウエアを見直す際に不可欠なビジネスアナリシスに関する寄稿を紹介する。なお、本連載に関する感想、ソフトウエアに関するご意見のある方はITpro編集部へお寄せいただきたい。

(谷島 宣之、八木 玲子=Software Matters担当)

 ビジネスモデルのイノベーションあるいはトランスフォーメーションといった言葉がもてはやされ、そのやり方が複数提案されている。

 例えば「ビジネスモデル・キャンバス」は誰にでも書けて、分かりやすく、ビジネスモデルを変える活動に関わる人たちの間でコミュニケーションを取る手段の一つとして優れたものである。

 また、ビジネスモデルに加え、それを支えるアプリケーションやデータ、テクノロジーまで整理して一望できる「エンタープライズアーキテクチャ(EA)」もビジネスモデルの変革に必須のツールといえる。

 ただし、ビジネスモデル・キャンバスもEAもいわば、全体像を捉えたスナップショットである。ビジネスモデルを変えるには具体的な計画を作成し、キャンバスあるいはEAにいったん表現した全体像のどこの部分をどの程度変える必要があるのかを明確にしなければならない。それには相当の作業が必要であり、その指針となる方法論はキャンバスにおいてもEAにおいても提示されていない。

 そこで、ビジネスモデル・キャンバスやEAに基づき、ビジネスモデル変革を実践するための方法論として、「ビジネスアナリシス」を使うことをお勧めしたい。

 ビジネスアナリシスとは「ニーズを定義し、ステークホルダーに価値を提供するソリューションを推奨することにより、エンタープライズにチェンジを引き起こすことを可能する専門活動」である。