ソフトウエアの構想、企画、設計、開発、保守のやり方をどう良くしていくのか。ソフトウエア人材の将来像はどのようなものになるのか。日本製ソフトウエアを輸出できないのか。

 こうしたテーマについて様々な人が論じ合える場を用意し、多くの人に考えるきっかけを提供したい。そこで本企画『ソフトウエア、それが問題だ~Software Matters』では、ソフトウエアの諸問題と対策を日本や世界の論客の方々と考えていく。

 第1回として米カリフォルニア大学バークレー校のRobert E.Cole(ロバート・コール)名誉教授の寄稿を掲載した(「日本のリーダーはソフトウエアの本質を理解していない」)。第2回は、第1回の翻訳も担当してくださった、新谷ITコンサルティングの新谷勝利代表に執筆いただいた。

 本企画に関する感想、ソフトウエアに関するご意見のある方は、ITpro編集部にお寄せいただきたい。

(谷島 宣之、八木 玲子=Software Matters担当)

 筆者は、本企画の第1回の著者であるカリフォルニア大学バークレー校のコール名誉教授とは、古くから付き合いがある。同志社大学の中田喜文教授と書かれた論文「The Japanese Software Industry: What Went Wrong And What Can We Learn From It?, CMR Vol.57, No.1, Fall 2014」の背景調査にも、発行の数年前から関与していた。

 コール教授とは、メールや対面で実に多くのディスカッションを重ねてきた。論文の最終稿が完成したときには、教授の許しを得て、論文の第1章とまとめを翻訳し、筆者の友人・知人に配布した。すると、この論文の趣旨に同意するとのコメントが多く得られた。いつか、より広い読者に、コール教授の日米での調査/分析結果を知ってほしいと考えていた。

 そのときから2年が経過しようとする今、こうしてITproで企画が実現したのは極めてうれしいことである。

 コール教授による第1回の記事は、前出の論文を基にまとめられている。筆者はこの記事が、Facebookなどで広く議論されることを期待している。一方通行ではなく、読者と何らかの対話ができればと願っている。

 コール教授の論文および第1回の記事に共通するのが、人材育成に関する問題意識である。人材育成については、筆者もかねてから重視してきた。本企画の第2回を担当するに当たり、この問題についての考えを述べる。