会津のデジタルインバウンド戦略の旗振り役となっているのが、会津若松市だ。市長の室井照平氏は、構築したデータ分析システムなどを元に、「会津全体で外国人をはじめ人が行き交うまち作りに取り組む」と話す。

(聞き手は玉置 亮太=日経コンピュータ


IT企業を経営した経験も持つ室井市長
IT企業を経営した経験も持つ室井市長
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これまでの会津地域のインバウンド戦略をどう評価しますか。

 正直に言って弱かったと言わざるを得ない。旅行前に会津のことを知らせる手段がなかった。これまではパンフレットを作っても、肝心の外国人に渡すすべがなかった。

 そもそも東北地方全体で、訪日外国人が少ない。震災後の落ち込みからだんだんと戻ってきてはいるものの、まだこれからだ。ただ、もともと弱かった分だけ伸びしろは大きいと思っている。

強化に向けた方針は。

 土台となっているのが、地域を統一したデジタル基盤システムを元にした会津若松市の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」だ。人を外から呼び込み、デジタルデータの活用を担う人材と産業を育成する。そのための基盤としてビッグデータ分析システムを整備する。こうすることで、定住する人口だけでなく、仕事や観光で会津を訪れる交流人口を増やし、人口増と地域の発展を図りたい。

 鍵を握るのはデータ分析基盤と、それを活用する人材の育成。方策としては例えば、IT人材の育成に力を入れている会津大学との連携を強化する。

 応用分野は多岐にわたる。医療、子育て、教育、観光などだ。その中でも、特に力を入れているのが訪日外国人による観光振興。まず今年度は、ターゲットとなる「市場」を見定める。