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ビーコンで社内コミュニケーションの活性化は可能か?

ビーコン開発はビジュアル重視、ポイントは電池の容量とサイズのトレードオフ

[第3回]

加藤 亮=リクルートテクノロジーズ ITソリューション統括部 アドバンスドテクノロジーラボ 2016/09/14 ITpro

 今回のプロジェクトは2015年の10月から開始した。2016年3月までの半年でビーコンデバイスを完成させ、4月の社内配布を目標とした。大まかな流れは次のようになる。

出所:リクルートテクノロジーズ
[画像のクリックで拡大表示]

 デバイスのデザイン策定に2カ月、ファームウエアと基盤の開発、外装の設計に2カ月をかけた。1月後半から工場に依頼し、まず基盤の量産、2月の頭からは外装の量産を開始した。2月後半から完成品を順に納品してもらい、3月中旬に全納となるようなスケジュールだ。

 1月後半の工場依頼の段階でデバイス側の開発を切り上げ、Web側のAPIとiPhoneアプリの開発に取り掛かった。3月に入ってからは、管理用のWebアプリと、納品されたビーコンに初期設定をするためのiPhoneアプリを用意した。3月後半からは、そのコンフィグアプリを使って700台のビーコンに初期設定を行っていき、配布準備を整えた。

 今回はビーコンデバイスの開発に焦点を当てて解説していく。

ビジュアルデザイン重視でプロジェクト始動

 デバイス開発で重視したポイントはビジュアルデザインである。

 今回の実証実験では、全社員にビーコンを配るものの、その利用は強制でなく本人の意志に任せることとなった。そのため、まずはとにかく身に着けてもらわなければ話にならない。

 「ダサい」と思われてしまったが最後、一度も使うことなくデスクの引き出しの中に放置されてしまうだろう。女性受けも考慮しなければならない。

 分かりやすい指標として「アップル製品ぐらいの高級感のあるもの」という意見がプロジェクトの中で挙がった。それを目標に、プロダクトデザインに強いパートナー業者を探し、二人三脚で進めていくこととなった。

要件定義からサイズ感の選定

 デザインでまず考えなければならないのがサイズ感だった。一般的な市販のビーコンデバイスは据え置き型のものが多い。今回必要なのは携帯型だ。当然小さいほうが望ましい。どこまでの小型化が現実的に可能なのかを調べる必要があった。

 ビーコンデバイスに必要な回路素子は少ない。BLEモジュール、LED、ボタンスイッチ、電源くらいのものだ。全体のサイズに最も影響するのは電池だと言っていいだろう。

 容量の小さい電池を使えば、サイズは抑えることができる。今回は長期運用のためのものではなく、あくまで3カ月程度の試験運用であり、その期間電池が持てばよかった。3カ月の稼働が可能という条件を満たす最も小さい電池を探すこととなる。

送信電力と到達距離

 3カ月間の電力消費を予測するためには、パケット発信の頻度や送信電力を決定する必要があった。

 まず送信電力に関してだが、据え置き型ビーコンでよく使われている設定は10メートル程度のパケット到達距離を満たすものだと思われる。設定値を変えることで、1~2メートル程度まで落とすこともできるし、また最近では100メートルの到達距離を宣伝文句にする製品も存在する。

 今回は、「会議室などで周囲の人の情報が見れること」が要件であったので、3~5メートルの到達距離になるように調整した。これは基盤がむき出しの状態では10メートル程度の発信距離になる設定値だ。外装をかぶせることで3~5メートルに抑えられるようになっている。

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