もうすぐクリスマスだ。
クリスマスといえば、昨年(2015年)のこの時期に、いくつかのWebサイトで「クリスマスイルミネーションでWi-Fi(無線LAN)が遅くなる可能性がある」という記事を見かけた。
話の出所を辿っていくと、とあるWi-Fi接続確認アプリの紹介の中で干渉の例として「電子レンジやベビーモニター、クリスマスの電飾」が挙げられていた。
電子レンジとWi-Fiの干渉はよく知られている話だ。またベビーモニターは音声や映像を、無線を利用して送信していることが想像できる。このほかにも、普段利用している家電製品にも無線LANの電波に干渉する機器があっても不思議ではない。しかし、「クリスマスの電飾」は、にわかには信じがたい話である。
この記事のことをラボにいるメンバーに話してみた。すると「さすがにクリスマスツリーの電飾は関係ないのでは?」という反応が返ってきた。筆者を含め、同じ意見ではあったが、無関係と結論付けることはできなかった。実際に試した人がいなかったからだ。
様々な環境で使われることが多くなっているWi-Fiでは、このようなちょっとした疑問を実際に検証することでノウハウの蓄積につながる。そこで、思い切ってラボの検証設備で通信速度への影響を測ってみることにした。
外部の電波の影響を受けない「電波暗箱」の内部に、シスコシステムズのアクセスポイント(AP)「Aironet3802i」を置き、市販されている100球のLEDイルミネーション(LED電飾)を写真1のように飾り付けた。折角なので、もう一つ50球のLED電飾をAP左上にツリーのように配置してみた。
そして図1のように米イクシアの測定装置の「Ixia Veriwave(IxVeriwave)」に、「サーバーが継続して送信するデータ(UDPフレーム)を、802.11n(20MHz幅、1ss)で無線LANに接続した端末が受信する」という仮想的な環境を設定した。少し補足すると、802.11nを20MHz幅、1ssで使用したときの理論上の最大通信速度は72Mbpsである。