「Wi-Fi(無線LAN)といえば、トラブルが付きもの」というイメージを持っている読者は少なからずいるのではないだろうか。筆者も「通信が途切れる」「PCを持って会議室に移動したらWi-Fi通信が遅くなった気がする」といった話をよく耳にする。

 それらのトラブルのなかで、筆者が最近気になっているのは、「スマートフォンの画面上にWi-Fiマークが付いているのに通信できない」「少し移動したら通信できなくなった。でもLTEにも切り替わらない」といったものだ。

 何とも解せず、イライラしてしまうようなトラブルだが、実はよく起こる。原因は様々だが、その中から今回は「端末の電波強度差」が要因として発生するケースを紹介しよう。

「APからの電波が強ければOK」ではない

 例えば、1台のアクセスポイントに2台のスマートフォン(スマートフォンA、スマートフォンB)が接続されているとする。アクセスポイントから2台のスマートフォンへの電波強度は一緒なので、ほぼ同じ電波強度で2台のスマートフォンは電波を受信することになる。

 ここで注目していただきたいのは、実はスマートフォンからアクセスポイントへの通信だ。スマートフォンによって電波出力は異なる。スマートフォンAは電波強度が高く、スマートフォンBは電波強度が低いとした場合、図1のようにスマートフォンAの通信はアクセスポイントに届くが、スマートフォンBの通信はアクセスポイントに届かない。アクセスポイントに近い場所では気になることは少ないが、アクセスポイントから離れるとこの差が顕著に現れてくる。

図1●アクセスポイント、端末間の電波到達イメージ
図1●アクセスポイント、端末間の電波到達イメージ
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