スマートフォンの登場以降、Wi-Fi(無線LAN)を利用する機会が増えている。会社では社内のWi-Fiを利用し、外出したら訪問先のゲスト用Wi-Fi、街中では様々なフリーWi-Fiや通信キャリアが提供するWi-Fiがあり、家に帰ると自宅のWi-Fiを使うのが、日常だ。
様々なシーンで利用できるWi-Fiだがそれを構築するアクセスポイントを導入する際、どのように機器を選定しているだろうか。機能や価格で製品を選ぶのが大半ではないだろうか。
アクセスポイントを通信速度だけで比較すると、家電量販店にある家庭用製品と、企業用製品で、値はそれほど変わらない。このため、社内で使うWi-Fiのためのアクセスポイントであっても、価格の安さを重視して家庭用機器を購入することもあるようだ。
選び方はさまざまだが、見落としがちなのが性能だ。
Wi-Fiは電波を利用して通信しているため、通信の不具合が発生することがままある。その要因は、電波干渉、減衰、端末の問題と多岐にわたる。すると不具合ばかりに着目してしまう。そもそもアクセスポイントの性能に問題がないか、という点を調べるのがおろそかになりがちだ。
また、性能に着目したとしても、Wi-Fiは外的要因を受けやすいために、正確な性能比較をするのは非常に難しい。
カタログ記載の仕様で比較してみよう
アクセスポイントの性能を比較したい場合、まずはカタログに記載されている仕様の内容で比較をするだろう。しかし企業向けアクセスポイントでも家庭向けでも、対応する規格が同じなら通信速度の表記も同じだ。どのような違いがあるのか確認してみよう(図1、図2)。
メーカーによって表記方法が少し異なるため、初めて見ると比較が難しいかもしれないが、まとめると以下の表1のようになる。家庭向けアクセスポイントのスペックが高いように見えるかもしれないが、違いはストリーム(通信路)数にあるため、端末が2ストリーム対応である場合には、最大伝送速度は同じになる。
Cisco AP1702 | A社の家庭向けアクセスポイント | |
---|---|---|
参考価格 | 約10万円 | 約8000円 |
対応最高速規格 | 802.11ac | 802.11ac |
アンテナ数 | 3本 | 3本 |
最大伝送速度 | 867Mbps (2ストリーム×80MHz幅) | 1300Mbps (3ストリーム×80MHz幅) |