新年明けましておめでとうございます。2017年も「米国発! Appleニュースの読み解き方」という連載タイトル通り、米アップルのニュースに関する解説をお届けします。ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

 2017年のアップルを展望する際、見逃せないのがアップルを取り巻く周辺環境の変化だ。それは不確定要素でもあり、問題解決のチャンスということにもなる。

 まずアップルを初めとしたシリコンバレー企業は、米国におけるドナルド・トランプ大統領の時代をどのように受け入れるのかを考えていかなければならない(関連記事:トランプ次期大統領とハイテク幹部、雇用や経済成長について会談)。

 米TechCrunchは、アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)が従業員に答えたコメントを報じている。その中で、アップルと政府との関わりは「非常に重要だ」と答えている。特に、税制や知財に関する改革については、ビジネスに関わりが強い領域として注視している。

中国・インド・日本にも“積極外交”

 興味深いのは、こうした問題について「傍観者の立場でうまくいったことはない」との指摘だ。具体的には、米国に加え、EU(欧州連合)、中国、南米といった国や地域に対しても関与する姿勢を表明している。テクノロジー企業のトップとして、問題解決に取り組んでいく点を強調している。

 ティム・クック氏は2016年には中国やインドを訪れ、それぞれの国への投資を決めている(関連記事:中国・インドで動いた! ベンチャーキャピタルとしてのアップル)。インドではナレンドラ・モディ首相と会談し、「Apple Store」の出店や中古iPhone販売といったことも含め、ビジネス上の障壁の解決に取り組んできた。

 2016年10月には日本を訪問しており、「Apple Pay」を体験している姿を披露して同月のサービス開始をアピールするなど、市場としての日本を重視する姿勢を強調した。実際、2016年に通年で成長を記録した市場は日本だけだった。サプライヤーとの良好な関係をアピールし、一部のサプライヤーとの訴訟問題で悪化するイメージを改善する狙いもあった(関連記事:日本で71万5000人の雇用を創出したアップル、その功罪は?)。

 各国と積極的にコミュニケーションを取り、問題を取り除いていくティム・クック氏。不確実性が大きくなる時代において、求められる姿勢の一つである。