米アップルは2017年11月3日に「iPhone X」を発売し、iPhoneのラインアップが最大の規模に拡大した。

 iPhone Xを頂点として、2017年に発売した5.5インチの「iPhone 8 Plus」と4.7インチの「iPhone 8」のほか、2016年の「iPhone 7 Plus」と「iPhone 7」、2015年の「iPhone 6s Plus」と「iPhone 6s」がある。さらに2016年に投入し2017年3月にストレージを強化した4インチの「iPhone SE」もラインアップに入る。

 このように「X」「8」「7」「6s」「SE」の5つのシリーズを展開し、価格もiPhone SEの349ドルからiPhone Xの999ドルまで広がった。アップルも「より多くの顧客がぴったりのiPhoneを選べるようになった」としている。

7~9月期に世界で最も売れたのはiPhone 7

 アップルが2017年7~9月期決算で発表したiPhoneの販売台数は4670万台。前年同期比で売上高、販売台数ともに微増だった。シンガポールの調査会社カナリス(Canalys)は、アップルが同時期に販売したiPhoneのモデル別の内訳についても発表している。

 これによると、同時期に最も販売台数を伸ばしたのはiPhone 7で、1300万台に達した。この販売台数は、世界のスマートフォン市場でも単一機種として最も多い。2位も2016年モデルのiPhone 6sであり、790万台だったという。

 アップルが発表したiPhoneの販売台数には、9月22日発売のiPhone 8シリーズも含まれている。これまでは新版を9月中旬に発売すると、1週間程度で1000万台以上の販売台数を記録してきた。しかし、カナリスによると、今年はiPhone 8が540万台、iPhone 8 Plusが630万台。単一の販売台数でiPhone 7に及ばなかったうえ、iPhone 6s(790万台)よりも下回ったという。

iPhoneユーザーの拡大でサービス部門が急成長

 iPhone 7が単一機種として世界のスマートフォン市場で最も多く売れたスマートフォンだったことは、アップルにとって良いニュースだ。アップルのiPhoneのリリースサイクルからすれば、7~9月期はモデル末期に当たる。アップルはiPhone 8の発表後にiPhone 7を100ドル値下げした。最新ではないにもかかわらず、選ばれ続けたことになる。

 iPhone 6sが世界で2番目に多く売れた点も特筆すべきだ。アップルは同機種を9月12日まで549ドルで販売し、9月12日以降は449ドルに値下げした。最新のiOS 11を使え、同社が未来のスマートフォン体験と位置付ける拡張現実(ARKit)の対応アプリも実行できるモデルとなる。

 アップルの売上高を見ると、iPhone販売が全体の6割を占める。売上高は価格×台数で決まるため、できれば価格の高い最新モデル、それも容量や画面サイズが大きいモデルに人気を集めることが、利益の最大化に向けて重要である。

 一方、同社には急成長を遂げるサービス部門がある。「App Store」や「Apple Music」の売り上げは、iPhoneユーザーの拡大とともに上昇していく。価格が比較的に安い旧版でもユーザーが増えることは、サービス部門の成長に不可欠な要素だ。特にスマートフォン市場は今後、飽和による低成長が見込まれるだけに重要となる。