米アップルは、最新版のiPhone Xで、これまで5年間搭載してきた指紋認証「Touch ID」を顔認証「Face ID」に切り替えた。
もっとも、iPhone 8シリーズのほか、iPhone SEをはじめとした一部の旧機種も販売を継続するため、Touch IDはまだ残る。しかし、Face IDに一度触れてしまうと、こちらのほうが良いとしか思えなくなる。
Touch IDはiPhone 5sで初めて搭載した認証方式だ。iPhone 5sはスマートフォンとして初の64ビット版「A7プロセッサ」を搭載した2013年発売モデルである。プロセッサの内部にセキュアな情報を格納して端末外に持ち出さないようにする機構を備えていた。
以降、Touch IDはiPadシリーズを含め、iPhone 8まで搭載された。一方、2016年モデルのMacBook ProでもIntelチップのメインシステムから独立させた「T1チップ」をわざわざ搭載し、Touch IDのセキュリティシステムを実現した。
ところが、iPhone Xでは全面ディスプレイを採用し、指紋認証センサーをディスプレイ内部や背面に配置する手法を取らなかった。暗がりでも顔を読み取る赤外線カメラ「TrueDepthカメラ」と「ニューラルエンジン」を駆使し、メガネや帽子の有無をはじめ、髪やひげの違い、加齢による変化も吸収して認証できるFace IDを新たに搭載。従来のTouch IDは取り去られることとなった。