米アップルは「iPhone 8/8 Plus」の発売を目前に控えた2017年9月19日(米国時間)、iPhone/iPad向けOSの最新版「iOS 11」の配信を始めた。対応デバイスのユーザーは無料でダウンロードできる。

 アップルがAndroid搭載スマートフォンに対するiPhoneの優位性としてアピールする点の一つとして、最新OSの急速な浸透がある。実際、iOS 11の配信が始まってからのインストール率は、24時間後で10%、1週間後で25%、2週間後で38.5%となった。あくまで目安だが、おそらく1カ月以内には旧版「iOS 10」のインストール率を上回るだろう。

 恩恵を受けるのはアプリ開発者である。iOS 11は機械学習や拡張現実(AR)といった新しいAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)やフレームワークに対応し、アプリ開発の新たな競争領域となっている。最新OSの普及率が高いことは、これらを生かしたアプリを実行できる端末が増えることを意味し、開発者は安心して新たな技術を駆使したアプリで勝負できるわけだ。

 一方、ユーザーにとっても、iPhone旧版で最新機能の一部をすぐに体験できるメリットがある。アップルがiOSに魅力的な機能を追加することにより、最新OSを早く試したいと思うユーザーが増え、結果的に最新OSへの移行が早まっていくのだ。

最新OSは最新端末に最適化されている?

 筆者を含めて、多くのユーザーが体感しているのは、それまで使っていたiPhoneのOSを最新版に更新したら、電池の減りが早くなったり、動作が遅くなったりすることだ。おそらく、iOS 11も同様だろう。

 一般にiOSを更新すると、端末内にあるデータの再インデックス化を実施する。再インデックス化とは、いわば「Spotlight検索」や「Siri」から利用するための下準備のようなものだ。

 これにはメールや写真、メモといったアプリのデータを含み、その量が多いほど作業に時間がかかる。この作業はiPhoneのバックグラウンドタスクとして処理が進むため、高負荷で他の処理が遅くなるだけでなく、端末が熱くなったり電池が急速に減ったりすることがある。

 iOSを平日に更新しないほうがよい理由がここにある。例えば朝に出かけ、1時間ほどの通勤時間にiPhoneで音楽を聴きながらメールやニュースをチェックしただけで電池の残量が10%に減ってしまった、といったことが起こり得るからだ。OSの更新は、あまり遠出をしない週末、それも金曜日の夜に始めるとよいだろう。