「iPhone」や「iPad」を最新の「iOS 10」にアップグレードすると、最も初歩的な操作で、とてつもなく不便に感じる。それは、ホーム画面を開くためのロック解除だ。

 iPhone登場以来、画面を左から右にスライドして、パスコードを入力すれば、ロック画面を解除できるのが当たり前だった。しかしiOS 10では、左から右のスワイプにはウィジェット画面の表示が割り当てられ、ロック解除はできなくなった。

 新しい操作方法は、「プッシュしてロック解除」というものだ。iPhoneシリーズの「iPhone 5s」以降のモデルには、ホームボタンに「Touch ID」が搭載されている。指紋を登録しておけば、ボタンを押し込むうちに指紋認証を済ませて、1アクションでロック解除が終わる。とても理にかなっているし、スマートだ。

8年間慣れ親しんだ操作が変わった

 もちろん、こうした「改善」と呼べる変更は、どんどん行うべきだと思う。しかし、大きな変更ほど、痛みを伴うものでもある。

 筆者は、iPhone 3G登場の2008年以来8年間にわたって、毎日何十回も「スライドしてロック解除」を繰り返してきた。そんな指は、簡単に新しい操作方法を受け入れることができなかった。ところが、iOS 10にして2週間が過ぎたあたりから、だんだん、ホームボタンを押し込むだけでロック解除を済ませるようになってきた。今ではスライドのことなど、すっかり忘れつつある。