米国では2017年9月、立て続けでハリケーン襲来に見舞われた。もともとハリケーンシーズンではあったが、米国の大都市を襲うコースを通り、被害が拡大した。

 スマートフォンが我々の生活に深く入り込み、第一の情報収集手段となっているのは日本も米国も同じだ。しかし米連邦通信委員会(FCC)によると、ハリケーン「マリア」の直撃を受けたプエルトリコ(カリブ海に位置する米国の自治領)では、1週間が過ぎても90%の携帯電話基地局が機能していないという。

 こうした状況を受けて、FCCのAjit Pai氏は9月28日、アップルを名指しで「ハリケーンの惨状を鑑み、方針を見直す」よう促した

現状のiPhone 8にFMラジオ機能はない

 この声明によると、「全てのスマートフォンにすでに搭載されているFMラジオを利用すれば、被災中に命を救う情報にアクセスできる」としており、米国でのシェア4割を確保するiPhoneに対して、FMラジオへの対応をすべきというのだ。

 アップルは、iPhone 7やiPhone 8にはFMラジオ対応チップを搭載しておらず、FM信号に対応するアンテナもないのでFM放送を受信することはできない、としている。その一方で、ユーザーの安全に気を配っていることもアピールしている。

 iPhoneではロック解除をしなくても緊急番号への通話ができる。「Medical ID」という情報を登録する機能を搭載しており、気象情報や誘拐事件の情報などをアラーム音とともに通知する仕組みも組み込まれている。この緊急通報機能は、日本では、緊急地震速報などを通知する仕組みとして利用されている。