米アップルは2017年9月12日(現地時間)に発表イベントを開催し、iPhoneシリーズを刷新した。今回は、アップルが2017年秋にそろえたiPhoneラインアップについて読み解く。

2017年秋以降のiPhoneシリーズのラインアップ
2017年秋以降のiPhoneシリーズのラインアップ
(撮影:松村 太郎)
[画像のクリックで拡大表示]

 新モデルばかりに注目が集まりがちだが、iPhone 7以前の継続販売モデルのラインアップから浮かび上がって来ることもある。

 今回「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X」の3機種をラインアップに追加した。それぞれ699ドル、799ドル、999ドルからという価格設定。iPhone 8とiPhone 8 Plusは、従来のiPhone 7シリーズよりもそれぞれ50ドル、30ドルの値上げとなった。

 過去のモデルで残されるのは4インチの低価格モデルiPhone SEで349ドル~に値下げとなる。2015年モデルのiPhone 6s/6s Plusは449ドル~に値下げ。そして2017年モデルのiPhone 7/7 Plusは549ドル~に値下げされた。

ラインアップは全てARKit対応に

 秋以降のラインアップのうち、まず継続販売になったモデルから見ていこう。

 アップルはiPhone SEとiPhone 6s以降のモデルをラインアップに残している。この基準の1つとなったのが、搭載しているプロセッサだ。

 iPhone SEとiPhone 6sには、A9プロセッサが採用されている。アップルは新しいiOS 11で、AR(拡張現実)用のAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)である「ARKit」を提供する。ARKitを使用するアプリは、A9プロセッサ以降でなければならない。そのため、1世代古いA8プロセッサを搭載するiPhone 6を残すことは、「世界最大の拡張現実プラットフォーム」を掲げるアップルの方針に合致しないのだ。

 もう1つの注目ポイントは、iPhone SEの価格の値下げだ。これまで399ドル~だったiPhone SEは、349ドル~と50ドルの値下げとなった。これは先進国における子供や格安SIMユーザーの取り込みに有効であると同時に、インドや東南アジアなどの急成長している地域でユーザーの裾野を広げることができる。