米アップルは、2016年9月の「iPhone 7」発表会の際に発表していた映像番組「Carpool Karaoke(カープール・カラオケ)」の独占配信を米国時間2017年8月8日にスタートさせた。最初のゲストは俳優のウィル・スミス氏だった。

 この番組は、人気司会者ジェームス・コーデン氏のトーク番組「The Late Late Show」のコーナーとして人気に火がついた。大統領夫人(当時)のミッシェル・オバマ氏まで登場した。セレブリティー(著名人)がクルマの中で歌いまくるという内容。ここで歌われた曲は配信や販売に明らかな反応が出るトレンドメーカーとなった。

 そこでアップルはCarpool Karaokeの独占配信権を獲得し、オリジナルエピソードをApple Musicで配信することを発表していた。この組み合わせはとても納得できるものだ。

カラオケがヒットトレンドを作る

 Carpool Karaokeで聴いた楽曲を、Apple Musicですぐに聴いたり、自分のプレイリストに追加したりすることができる。音楽を聴くきっかけとして最適であり、ある種の「セレブリティー・プレイリスト」を映像付きで紹介しているような感覚になるからだ。

 実際、Carpool Karaokeの配信が始まると、Apple Musicには番組内で紹介された楽曲のプレイリストが用意された。自分で音楽を探さなくても、お気に入りの曲をすぐに見つけられる仕組みになっている。

 カラオケが音楽のトレンドを作る、ということは日本人にとって既視感がある。カラオケが広く普及している日本においては、カラオケで歌えることは、楽曲のヒットを左右する大きな要因になっている。

 ウィル・スミス氏を招いたApple Music版のCarpool Karaokeには、歌だけでなく、クルマの中での会話も多く収められていた。紙パックに入っている水の会社のことなど、細かいエピソードが台本無しで語られていて楽しめる。音楽隊がクルマを取り囲んだり、結婚式に乱入したり、ヘリコプターに乗り換えたり。仕込みも含めてハプニング満載の20分間だった。

 見ている人をそっちのけで2人で楽しんでいるという印象も若干あった。そこはテレビ番組との違いなのかもしれない。