米アップルは米国時間2017年8月1日、2017会計年度第3四半期(4~6月期)の決算を発表した。売上高454億ドル、1株当たりの利益は1.67ドルで、それぞれ7%増、17%増となり、アナリストの予想を上回った。いくつかの理由も重なって、アップル株や、日本や中国を含むiPhone関連株も上昇した。

 アップルが用意する決算に関する「データサマリー」のシートでは、大中華圏の売上高以外の全ての数字が「前年同期比増」を記録し、堅調な成長を取り戻したことをアピールした。

 今回の決算について、3つの視点で考えていこう。

iPhoneの新規市場と複雑な駆け引き

 iPhoneは、アナリストの予測を上回る4102万6000台を販売し、248億4600万ドルを売り上げた。それぞれ前年同期比2%増、3%増。端末の平均販売価格は606ドルと、前年同期から1.7%増加した。

 最後の数字である1台のiPhone当たりの販売価格は、アナリストの予測を下回っている。このことから販売台数の増加は、最も安い価格の「iPhone SE」を中心とした新興国向けのモデルが貢献したと考えられる。

 中国市場の売り上げは依然として10%減と下げ止まる気配はないが、アジア太平洋地域は15%増と、大きな成長を遂げていることも裏付けとなる。決算を説明するカンファレンスコール(電話会議)では、アジア、ラテンアメリカ、中東の地域でのiPhone販売が前年同期比25%増となったと報告された。新興国での新規ユーザー獲得が販売台数の上振れをもたらしたのだ。

 アップルは2017年9月に新型iPhoneを発表するとみられる。中国ユーザーを中心として、最新モデルを待ち望む声と期待が高まっていた。その裏返しとして買い控えも指摘され、アップルの成長を一時的に妨げているとの見方もあった。今回の決算は、新型iPhoneを待たずに購入するユーザーの存在と、それによる販売台数、売上高の増加という結果を得たことから、新型iPhoneでさらなる好業績がもたらされるとの見方も広がった。

 買い控えが顕著とみられる中国市場が新型iPhone登場後、旧正月を含む2018会計年度第2四半期までの期間で、どれだけ復調するかに注目が集まる。