米アップルは2017年6月19日(米国時間)、カリフォルニア州サンディエゴの連邦裁判所で、米クアルコム(Qualcomm)に対する訴訟を起こした。アップルとクアルコムの間では、クアルコムのビジネスモデルや、規制当局に対する情報提供などに関連して、これまでも訴訟が起こされてきた。

 今回の訴訟は、合衆国憲法修正第1条(信教・表現の自由に関する条文)の侵害として起こされた。中身はアップルがこれまで主張してきたことと同じで、公正なライセンス料の支払いが行えるよう、クアルコムの排他的なライセンス契約の是正を求めるものだ。

 クアルコムのビジネスは、モバイル通信に関連するライセンス契約と、クアルコムからのチップ購入を分けている点で、「Double Dipping」(二度漬け)とも呼ばれている。クアルコムは、チップの購入とライセンス契約をセットにする「No License, No Chip」という原則でビジネスを展開してきた。

 これに対して、中国や韓国の公正取引委員会に相当する機関は、競争を阻害しているとして制裁金を課してきた。また米国のFTC(連邦取引委員会)は、やはり同じ内容で訴訟を起こしている。

 アップルは韓国の公正取引委員会の調査に対して協力しているが、これにクアルコムが反発。アップルが受け取るはずだった10億ドルの支払いを停止している。アップルは1月に、その支払いを求める裁判を起こし、またアップルから製品の製造委託先へのクアルコム向けライセンス料の支払いを止めている。

アップルはクアルコムの競争阻害を主張

 この件に関連して、アップルのシニアエグゼクティブに話を聞くことができた。以下のような話だった。

 「この問題には複雑な契約の問題がありますが、主に3点の問題があります」。

 「1つ目は、クアルコムのビジネスモデルです。中国、韓国、米国、欧州委員会において、クアルコムが不正に競争を阻害している点が問題視されており、罰金を課された事実があります。米国では、米インテルと韓国サムスン電子もこの問題に対しての是正を求めて訴えを起こしました」。