米アップルの「WWDC 2017」が閉幕し、向こう1年間のアップルプラットフォームに関する技術的な方向性と、今後どんなアプリを開発することが可能か、という議論が活発になっている。

 その中で、改めてアップルがどんな戦略を採っているのか、少し引いた視点で見ていこう。

 そこには「世界最大」、つまり数の論理が通用する絶妙な戦略が見え隠れする。

プロセッサの設計は大正解だった

 アップルのiPhoneは、スマートフォン全体の販売シェアでは15%前後を推移している。残りはほぼすべて、米グーグルのAndroidが動作するデバイスだ。「Google I/O」では、20億台がアクティブであることが報告され、その規模は他(といってもアップルぐらいしか競合候補も見当たらない)を圧倒する存在だ。

 シェアの差が大きくてもアップルが余裕でいられる理由もある。それは、デバイスとソフトウエアを組み合わせてスマートフォンを作っている唯一の主要プレーヤーであるからだ。最新のOSがすばやくプラットフォームに行き渡る特性を持っている点も重要だ。

 今回登場した「iOS 11」で、アプリは完全に64ビット化を完了する。そのため、64ビットプロセッサを採用していないiPhone 5以前のiPhone、iPad(第4世代)以前のiPadは、iOS 11が動作しないこととなった。

 言い換えれば、A6・A6X以前のプロセッサを採用するデバイスは、iOS 10までしか利用できない。しかしiPhone 5s以降のデバイスなら、現在稼働する大半をカバーできると考えられる。つまり、64ビットアプリへの移行をスムーズに完了できる可能性が高い。