米国の内部告発サイト「WikiLeaks(ウィキリークス)」は、米中央情報局(CIA)がハッキングツール開発に関する機密文書「Vault 7」を入手し、2017年3月7日(現地時間)に公開した。この文書を巡って、米国は騒然となっている。

 というのも、米アップルの「iOS」、米グーグルの「Android」、米マイクロソフトの「Windows」などを搭載するデバイスについて、ハッキングの様々な手段が書かれていたからだ。コンピュータウイルスやマルウエア、トロイの木馬などを用いて、情報収集する手法の開発と運用に取り組んでいることを示したものだった。

 単純に言えば、「iPhone」を含むほぼ全てのスマートフォンが、CIAによる情報収集の対象となっていたことを意味する。テクノロジー企業各社は、この問題に対してコメントするなど、対応に追われている。

アップルは「最新OSで多くの問題を解決済み」

 米BuzzFeedの記事など各社の報道で、アップルの声明が掲載されている。その内容は以下のようなものだ。

 「我々の製品とソフトウエアは、顧客の手で素早くくセキュリティ更新ができるように設計されており、80%近くのユーザーが最新版のOSを使用している。我々の初期の分析の時点で、流出した機密文書にある脆弱性の問題の多くは、最新のiOSで既に修正されている」。

 この声明によれば、アップルは2017年1月のiOSのアップデートまでに、WikiLeaksで暴露されたハッキング手段の多くを利用できないようにするセキュリティ対策を施しているという。しかしまだ脆弱性が残っており、解決に向けて取り組んでいるという。

 幸いなことに、アップルはモバイルOSでしばしば語られる「バージョンの断絶」の問題にうまく対処してきた。4~5年前のアップル製品でも最新版のiOSを利用できるため、古いデバイスでもセキュリティ対策を施しやすい。