ITコストの削減はIT部門にとって永遠の課題であり、終わりがないテーマと言える。「何とかしてITコストを抑制できないか」という強い要求が経営サイドから出てくることはよくある。ただし一口にITコストと言っても対象は様々であり、いくつかの切り口でアプローチする必要がある。

 各論の前に、ITコスト削減に臨む際の基本的な心構えを述べておきたい。それは「チリツモ(塵も積もれば山となる)」の発想である。何らかの抜本的なコスト削減策を考えるのは大事なことだが、同時に、大勢の担当者が各々の持ち場において「少しずつでもいいからコストを抑えていく」との意識を持って草の根的に取り組み続けることも欠かせない。

 本題に入ろう。企業が管理しているITコストは大きく2つに分類できる。一つは、各種のハードウエアやネットワークの費用などインフラ関連のコスト。もう一つはアプリケーション開発などソフトウエア関連のコストだ。

 まず、インフラ関連分野におけるコスト抑制のあり方を考えてみよう。ハードウエアに関しては一般に、低コストでかつ性能の高い(つまりコストパフォーマンスの優れた)ものに更新していくほうが得策と言える。メーカー間では研究開発や製造など様々な段階で激しい競争が続いており、それを通じた価格低下傾向が顕著だからだ。

 気をつけたいのは、ハードは安いが保守料は割高というケース。まずは初期費用と償却期間に該当する5年間の保守料の合計金額をベースに比較検討したい。また、業務支援のためのシステムを数多く追加している企業も少なくない。大型サーバーに集約するなど保守・運営費用を抜本的に削減する方策が必要だろう。

 ネットワークについても既に大容量で安価な通信回線が普及しており、低コストで高速な企業ネットワークを構築できるようになっている。IT部門として留意したいのは、2重化を図る際に正副で異なる通信会社を契約すること。24時間監視についてはコストの観点から専門業者に外注するのも一つの手だ。