IT技術者が不足しているということは、これまでも述べてきた。主な原因だけでも、いくつか挙げられる。

 一つには最近の企業の情報化投資の拡大、企業の吸収・合併など組織的な統合に伴うシステム統合ニーズの高まり、行き過ぎたアウトソーシングの弊害から逆にインソースへの方針転換を始めたこと、ITベンダーからユーザー企業への転職が増えていることなどが考えられる。

 これに対する抜本策はあるのだろうか。

 まずは、プログラム開発業務の抜本的な改革が必要だろう。すなわち、多くが手作業となっているプログラムのコードを、自動生成することである。

 実はソースコードの自動生成の試みは、トライ・アンド・エラーの長い歴史でもある。例えば、1980年頃にブームとなったソフトウエア開発の自動化ツール「CASE」は、うたい文句ほどの成果は得られなかったし、それに続いて2001年に提唱されたMDA(モデル駆動アーキテクチャ)は部分的には成果を収めていると言われるが、いまだに試みが継続している。

 いずれにしても、プログラムのコードを詳細設計書などから自動生成することは、極めて画期的で、一部では実現しているようである。ただすぐに全ての完全な自動生成にたどり着けるかというと、そうではないかもしれない。段階を踏んでその実現性を確かめながら、適用範囲を広げていくことになる。

ユーザー部門にシステム運用を任せる

 二つ目は、ユーザー部門のシステム運用への参画を想定したシステムを開発することだ。具体的にはプログラムの変更などのシステム運用を、ユーザー部門の判断とオペレーションにより実施できるようにする。

 具体的には、システムを可能な限り対話形式で操作できるようにし、テーブル類の更新などの作業ならシステム部門の手を必要としない仕組みを整えておくことだ。当然ながら、システムの根幹にかかわるようなクリティカルなデータベースやテーブルは、ユーザー部門による操作の対象外とすべきであろう。

 例えば、店舗端末の登録やその稼動時間管理といった、従来ならユーザー部門からの業務要件提示に沿ってIT部門がその都度プログラム変更していた業務。これをユーザー部門自身で、業務端末を使って運用できるようにするという発想だ。